検索

上田綺世、遠藤航が途中出場で果たした役割は? チャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント開幕

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

 欧州のシーズンが佳境に入ったことを告げるチャンピオンズリーグ(CL)の決勝トーナメント1回戦。最大で12人に出場する可能性があった日本人選手は、リーグフェーズ、プレーオフを経て、以下の4人に絞られた。

 上田綺世(フェイエノールト)、遠藤航(リバプール)、伊藤洋輝(バイエルン)、冨安健洋(アーセナル、ただし故障でチームを離脱中)。

 現地時間3月4日に行なわれたそのファーストレグには、このうち上田と遠藤が、いずれも交代選手として試合後半に出場した。

パリ・サンジェルマン戦に後半34分から出場した遠藤航(リバプール) photo by Getty Imagesパリ・サンジェルマン戦に後半34分から出場した遠藤航(リバプール) photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る フェイエノールトがホームに迎えた相手は格上のインテル。2022-23シーズンのファイナリストだ。3-5-2の布陣で守りを固め、失点を抑えながら戦うことでリズムを生み出していく、イタリアの伝統的なスタイルを貫くチームである。ボール支配率を高めながら攻勢を掛けるフェイエノールトに対し、インテルはとりあえず引いて構えた。

 フェイエノールトのサッカーはよく見えた。パスはよく回った。国内リーグでは4位と振るわず、監督交代があったばかりのチームとは思えない、いい感じのサッカーを展開。番狂わせが隠岐そうなムードが漂い始めた時、インテルに先制点が生まれた。得点者はマルクス・テュラム(フランス代表)。ワンチャンスをものにする決定力を見せつける形となったが、それはたフェイエノールトに欠ける点であることが鮮明になった瞬間でもあった。

 フェイエノールトこの冬、エースストライカーのサンティアゴ・ヒメネス(メキシコ代表)をミランに売却。上田に出場のチャンスが回ってきたかに見えたが、その上田はプレーオフのミラン戦でケガに見舞われる。この日、先発を飾ったフリアン・カランサ(元U-17アルゼンチン代表)も存在感を発揮できず、時間の経過とともに決め手不足が露わになっていった。

 ケガから復帰し、ベンチ入りメンバーに名を連ねていた上田の投入を期待していた矢先、インテルに追加点が生まれた。スコアラーはラウタロ・マルティネス。テュラムと2トップを組むアルゼンチン代表が、またしてもフェイエノールトのアルゼンチン人FWとの格の違いを見せつけることになった。

1 / 4

著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

フォトギャラリーを見る

キーワード

このページのトップに戻る