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上田綺世、遠藤航が途中出場で果たした役割は? チャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント開幕 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【ビッグチャンスを逃した上田】

 ここでフェイエノールトのロビン・ファン・ペルシー新監督は腰を上げた。後半14分、上田をピッチに送り込んだ。すると、すぐチャンスが上田に巡ってきた。

 GKのキックを左ウイング、イブラヒム・オスマン(ガーナ代表)が収め、イゴール・パイション(U-23ブラジル代表)につけると、トップを張る上田はその瞬間、動き出した。シュートのイメージを作り、膨らみを持たせるような動きでラストパスを待った。

 ところがパイションからのパスは直接的で、縦に速すぎた。スタメン選手とピッチに入ったばかりの交代選手と、意思の疎通が図れなかったプレーと言えばそれまでだが、日本人としては、"もう少しいいパスを出してやれよ"と、ブラジル人FWに注文をつけたくなるシーンでもあった。

 直後、インテルにPKが与えられるも、ピオトル・ジエリンスキ(ポーランド代表)のキックは失敗に終わる。3-0になれば試合は終わったのも同然だった。フェイエノールトにはまだツキがある、1点を返せばセカンドレグが楽しみになる――。

 そんなことを考えていた後半25分、上田に絶好のチャンスが巡ってきた。逆襲からオランダ人MFハイス・スマルからきれいな縦パスが、前線をいく上田の足下に送られた。インテルCBステファン・デ・フライ(オランダ代表)と上田は1対1になっていた。スピードに乗っているぶん、上田が有利に見えるマッチアップだった。

 まさに見せ場到来。決めれば名声を高めるビッグチャンスだ。日本人観戦者は前のめりになったはずだ。

 ところが上田は、この勝負に完敗する。足下のボールをデ・フライにきれいに奪われてしまった。せめて、かわしてシュートまで持ち込んでほしかった。ドリブル力、相手の逆を取る術のなさが露呈した瞬間だった。三笘薫(ブライトン)ならいけたのではないか。ない物ねだりと承知しながらも、三笘のチェルシー戦、サウサンプトン戦のスーパーゴールと重ねたくなった。

 試合は0-2で終了。フェイエノールトがアウェーで行なわれるセカンドレグで逆転する可能性は2割あるかないかだろう。だが、ジュゼッペ・メアッツァで得点を奪えばアピールにつながる。欧州を代表する5つ星スタジアムに、上田は爪痕を残してほしいものである。

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