冨安健洋は完全復活なるか 長谷部誠は言った「人生の物事には、すべて意味がある」 (2ページ目)
【たくさん言いたいことはある】
今のプレミアリーグは1試合当たりのプレー強度が増し、選手たちはより速く、より長く走ることが求められている。その結果、下半身に負担がかかり、負傷を引き起こす。ワールドカップ予選で長距離の移動を強いられる代表選手たちは、なおさらだ。
アーセナルのようにチャンピオンズリーグでも優勝を期待されるような強豪は、より繊細なコンディショニングが必要とされ、可能な限り選手をローテーションしなくてはならない。
今シーズン、FWブカヨ・サカがハムストリングに違和感を抱き、昨年12月下旬〜今年4月上旬まで欠場を余儀なくされている。それも理不尽な負荷がかかったからだ。
特定の選手を信頼するアルテタ監督の気持ちも、わからないではない。だが、過密日程をしのぐためにはローテーション、休養が必要であり、対戦相手によっては帯同メンバーから外す大胆なプランも一考しなくてはならない。
マンチェスター・ユナイテッドのライアン・ギグス、ポール・スコールズが30代半ばまで異彩を放てたのは、サー・アレックス・ファーガソンが設けた休日のおかげである。
「試合の2〜3日前、突然、監督に言われるんだ。次の試合は休め。家で家族とリラックスしていろと」(スコールズ)
20年近く前の話だ。過密日程が大問題になっている現代において、休養日はひとつのゲームプランといって差し支えない。
冨安の再手術が明らかになる前、「今シーズンいっぱいで契約解除」「放出は妥当な選択」など、出所を明確にしないネット上の発信は腹立たしかった。なかには選手生命を危ぶむ一報まであった。関係者の証言を交えず、想像オンリーの内容だ。
「たくさん言いたいことはありますが......」
冨安の怒りはよくわかる。
彼の体調が思わしくないとしても、情報の裏を取らず、あるいは取る方法を知らずに発信するなど言語道断だ。前十字じん帯断裂やハムストリングの故障から立ち直り、再び輝いた選手が数多く存在した経緯を重視すべきである。
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