プレミアリーグを彩るマンチェスターのふたつのクラブ ユナイテッドとシティの興亡 (4ページ目)
【不振の時代】
1970年代から80年代にかけて両チームとも不振の時代が続いた。さらに、イングランド自体も不遇の時代を迎えた。1974年と78年のW杯ではイングランドは欧州予選で敗退。さらに、当時のイングランドのスタジアムは老朽化が激しく、さらにフーリガンが暴れまわっており、多くの人たちが犠牲になるスタジアム事故が相次いだ。
サッカー場は家族連れなどが近寄れない、汚くて、危険な場所となってしまったのだ。
こうして、日本のファンの間でもイングランドへの憧れは薄れていった。しかも両クラブが不振続きだったので、僕たち日本人ファンの間から「マンチェスター」という都市名が意識されることは少なくなってしまったのだ。
デニス・ローの思い出話を始めたら、脱線してマンチェスター勢の興亡の話になってしまった。1990年代以降は次回に回すことにしよう。
著者プロフィール
後藤健生 (ごとう・たけお)
1952年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。1964年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、1974年西ドイツW杯以来ワールドカップはすべて現地観戦。カタール大会では29試合を観戦した。2022年12月に生涯観戦試合数は7000試合を超えた。主な著書に『日本サッカー史――日本代表の90年』(2007年、双葉社)、『国立競技場の100年――明治神宮外苑から見る日本の近代スポーツ』(2013年、ミネルヴァ書房)、『森保ジャパン 世界で勝つための条件―日本代表監督論』(2019年、NHK出版新書)など。
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