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日本代表の中核・三笘薫、冨安健洋はプレミアリーグでどう見られている? 現地記者の評価

  • ジョン・ブルーウィン●取材・文 text by John Brewin

プレミアリーグ日本人選手 前半戦評価 前編

世界中のサッカーファンの注目を集めるプレミアリーグ。そこで奮闘している日本人選手たちは、現地でどんな評価を受けているのだろうか。英国大手一般紙『ガーディアン』で活躍しているジョン・ブルーウィン記者に、約半分を消化した前半戦を総括してもらった。

三笘薫はブライトンで3シーズン目。イングランドのフットボールファンにもお馴染みの存在だ photo by Getty Images三笘薫はブライトンで3シーズン目。イングランドのフットボールファンにもお馴染みの存在だ photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る

【三笘の調子はチームの不沈の鍵を握る】

三笘薫(27歳)/ブライトン(前半戦順位:10位) 
プレミアリーグ前半戦評価:B(AからEの5段階)

 英国南部のビーチタウンを本拠とするブライトンで3シーズン目を過ごす三笘薫は、イングランドのフットボールファンにお馴染みの存在だ。スピーディーかつスキルフルなドリブルを披露しても、もう驚かれることはなく、彼の特長として認知されている。また今季の彼は、よりチームプレーヤーとして成長している印象だ。

 ドイツ出身のファビアン・ヒュルツェラー新監督も、前任者ロベルト・デ・ゼルビと同様に、三笘を左ウイングに固定。敵地でエバートンと対戦した今季プレミアリーグ開幕戦(3-0の勝利)では、チームのシーズン最初の得点を奪う好スタートを切った。

「彼はとても謙虚で、すべての能力を高めようと努力している」とヒュルツェラー監督――31歳のプレミアリーグ史上最年少指揮官――は、今季序盤戦で言った。

 三笘は昨シーズン、足首と腰の負傷で後半戦をほぼすべて棒に振り、チームも攻撃の主力を失って苦しんだが、今シーズンの三笘のコンディションは比較的悪くなさそうだ。

「彼はピッチ上でかつての自身を取り戻すまでに時間を要したが、私たちもプレッシャーを与えるようなことはしなかった」とヒュルツェラー監督は続ける。

「彼が考える最高のやり方で復帰してくれれば、それでよかった。試合を重ねるごとに状態は上がっている。得点とアシストは、じきに増えていけばいい」

 ただその目標は達成されているとは言い難い。前述した開幕戦の先制点の後、11月に行なわれた敵地でのボーンマス戦(2-1の勝利)で決勝点を挙げ、翌13節のサウサンプトンとのホームゲーム(1-1の引き分け)で先制点を記録したが、数字はそこで止まっている。

 ここまでのアシストも、2のみ。ゴール前での決定力には改善の余地があり、代表戦との兼ね合いもあり、やや疲れている印象もある。

 チームは三笘が最後にネットを揺らしたサウサンプトン戦から勝てなくなり、ここ8試合で6分2敗。2024年最後のアストン・ビラ戦(2-2の引き分け)では、今季2度目のベンチスタートとなった(続く2025年初戦のアーセナル戦もベンチスタート)。昨シーズン同様に、三笘の調子はチームの不沈の鍵を握る要素のひとつなのだ。

 三笘が好調時にボールを持って前を向けば、プレミアリーグでも高い確率で相手守備陣を切り裂くことになる。そんな選手は世界最高と名高いリーグにも少なく、希少なアタッカーには常に他クラブも興味を示している。

「カオル・ミトマは日本のベストプレーヤーのひとりであり、プレミアリーグの水準でも、間違いなく平均以上だ」と話すのは、リバプールでリサーチ・ディレクターを務めていたイアン・グラハム――近年のリバプールの成功を影で支えた人物――だ。彼は同職在任中に、三笘を獲得しなかったことを悔やんでいる。

「日本でプレーしている選手を、プレミアリーグでも通用するだろうと予測するのは、私たちにとって実に珍しいことだ。あの頃、クラブ上層部にもっと強く三笘の獲得を進言すべきだったと後悔しているよ」

 心身のコンディションさえ整っていれば、三笘は今もプレミアリーグでもっとも見応えのあるアタッカーのひとりだ。

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著者プロフィール

  • 井川洋一

    井川洋一 (いがわ・よういち)

    スポーツライター、編集者、翻訳者、コーディネーター。学生時代にニューヨークで写真を学び、現地の情報誌でキャリアを歩み始める。帰国後、『サッカーダイジェスト』で記者兼編集者を務める間に英『PA Sport』通信から誘われ、香港へ転職。『UEFA.com日本語版』の編集責任者を7年間務めた。欧州や南米、アフリカなど世界中に幅広いネットワークを持ち、現在は様々なメディアに寄稿する。1978年、福岡県生まれ。

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