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日本代表の中核・三笘薫、冨安健洋はプレミアリーグでどう見られている? 現地記者の評価 (2ページ目)

  • ジョン・ブルーウィン●取材・文 text by John Brewin

【一旦ピッチに戻ってきて自身の価値を証明しなければならない】

冨安健洋(26歳)/アーセナル(前半戦順位:2位) 
プレミアリーグ前半戦評価:E(AからEの5段階)

 イングランドの名門アーセナルでの4年目は、冨安健洋にとって過去最悪のものとなってしまっている。2021年夏にボローニャから加入して以来、負傷離脱と無縁のシーズンはなかったが、今季はヒザの問題で離脱したまま開幕を迎え、第7節のホームでのサウサンプトン戦で84分に投入されて復帰したら、その試合で再び同じ箇所を故障。今季の出場記録は、その試合の6分間だけだ。

「トミヤスはまだケガをしていて、復帰時期もわからない」とアーセナルのミケル・アルテタ監督は昨年10月に話した。また11月には次のように明かしている。

「まだ数週間かかりそうだ。チームの力になれないことが、彼には辛そうだよ」

 何事にも真摯に向き合う冨安は、そうした気持ちから少し復帰を焦ってしまったのかもしれない。ただしそんなパーソナリティーもまた、周囲からの信頼につながっている要素のひとつだ。指揮官は続ける。

「彼がリハビリをどうこなしているかを精査し、復帰時期を見定めていきたい。いずれにせよ、私たちには彼が必要だ。彼はプレーできる時もそうでない時も、ハードワークを欠かさない。今は復帰するために長時間、リハビリに励んでいる」

 これまでにピッチ上で示してきたように、冨安のフットボーラーとしての能力に疑いはない。ただしアーセナルに加入して以来の3シーズン半で、全公式戦の70試合を欠場している。このスポーツに負傷はつきものだが、ちょっと心配になる数字だ。

 コンディションが整わないかぎり、チームでの序列が下降しても仕方ない。ユリアン・ティンバーやヤクブ・キビウォルだけでなく、18歳のマイルズ・ルイス・スケリーにも先を越されてしまっている。

 だが新年に入り、アルテタ監督はメディアにいいニュースを届けた。

「トミは最近、ピッチでいくつかのトレーニングをした。重傷なので予断は許さないが、復帰に向けて進んでいるのは間違いない」

 負傷しているだけに、移籍の噂も出回ってこない。アーセナルに留まるにせよ、他クラブへ移籍するにせよ、一旦ピッチに戻ってきて自身の価値を証明しなければならない。ただし、アーセナルのチームメイトや監督、ファンは冨安と共にタイトルを追いかけたいと感じているはずだ。

(井川洋一●翻訳 translation by Igawa Yoichi)

後編「鎌田大地、遠藤航、菅原由勢の評価」へつづく>>

ジョン・ブルーウィン 
John Brewin/1976年生まれ。英国マンチェスター出身のスポーツジャーナリスト。『ESPN』のシニアエディターを経て、現在は主に『ガーディアン』で健筆を揮う。同紙のポッドキャスト『フットボールウィークリー』やラジオ『トークスポート』にも頻繁に出演している。

著者プロフィール

  • 井川洋一

    井川洋一 (いがわ・よういち)

    スポーツライター、編集者、翻訳者、コーディネーター。学生時代にニューヨークで写真を学び、現地の情報誌でキャリアを歩み始める。帰国後、『サッカーダイジェスト』で記者兼編集者を務める間に英『PA Sport』通信から誘われ、香港へ転職。『UEFA.com日本語版』の編集責任者を7年間務めた。欧州や南米、アフリカなど世界中に幅広いネットワークを持ち、現在は様々なメディアに寄稿する。1978年、福岡県生まれ。

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