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プレミアリーグで今見逃せないクラブは? 水沼貴史がオススメのチームのよさを徹底解説 (3ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

【今季のサプライズはノッティンガム・フォレスト】

 アーセナルは昨季のメンバーを中心に、相変わらず守備は強固でセットプレーという武器も強力。MFマルティン・ウーデゴールがケガで離脱した時は少し調子を落としたけれど、戻ってきてからの復調ぶりを見るにあらためて彼の存在の大きさが証明された。

 そして今季のアーセナルが面白いのは、若手が台頭してきていること。メンバーを固定しがちなミケル・アルテタ監督だが、17歳のMFイーサン・ヌワネリ、18歳のMFマイルズ・ルイス・スケリーが使われるようになり、昨季とは違った若い力という魅力がある。ふたりとも10代とは思えない落ち着きとスキルがあり、これからの成長が楽しみだ。

 それから触れないわけにはいかないのが、マンチェスター・シティだろう。ジョゼップ・グアルディオラ監督がいる間に、こんな事態になるとは思いもしなかった。シティにしてはありえないミスがあまりにも多く、11月、12月の2カ月で2勝3分8敗と信じられない状況だ。

 原因は、おそらく相手のプレス強度がこれまでと違ってきていること。これまでは相手はシティのボールを取れないので躊躇してプレスに行っていたのが、今は強い意志を持ってプレスに行っている。

 たぶん「これくらいのプレスだったらシティの選手でも後ろに下げるぞ」というのが、相手もわかってきているのではないか、と思えるようなシーンが多く、シティにミスが増えてきている。そこへきてチームに安定感をもたらしていたロドリが長期離脱になったことで、歯止めが効かない。

 12月15日のユナイテッドとのマンチェスターダービーは、終盤に2点を決められて逆転されるという、ホームのエティハドで戦うシティとしてはあり得ない負け方をしていた。まるでトラウマを抱えているような状況に陥ってしまうのは、サッカーの恐ろしさだなと思う。ロドリの復帰やなにかをきっかけに持ち直す可能性は十分にあるが、それまでどうなってしまうのか全くわからない状況だ。

 最後に今季一番のサプライズと言えるのが、古豪ノッティンガム・フォレストの躍進だろう。しっかりとした守備をベースにサイドにはクロッサーがいて、前線のFWクリス・ウッドという大柄なターゲットにボールを集める、古きよきイングランドサッカーを感じるチームだ。

 センターバックにはムリーリョとニコラ・ミレンコビッチという個性のある面白いコンビがいて、前線のワイドにはFWカラム・ハドソンオドイやMFモーガン・ギブスホワイトという活きのいい選手もいる。どこまでビッグクラブを食い続けられるかはわからないが、フォレストは間違いなく前半戦を盛り上げてくれているチームのひとつだ。

後編「水沼貴史がおススメする今季プレミアリーグ注目選手につづく>>

著者プロフィール

  • 水沼貴史

    水沼貴史 (みずぬま・たかし)

    1960年5月28日生まれ。埼玉県出身。浦和南高校、法政大学で全国優勝を経験。JSL日産自動車でも数々のタイトルを獲得し、チームの黄金時代を築いた。日本代表では国際Aマッチ32試合出場7ゴール。Jリーグスタート時は横浜マリノスで3シーズンプレー。引退後は、横浜F・マリノスのコーチや監督を務めた。現在は解説者として活躍中。

【画像】欧州サッカー今季注目16クラブの主要フォーメーション

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