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サッカー日本代表がアーセナルと戦えば...守田英正、「こう崩せ」と言わんばかりの攻撃に屈す (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【実力差以上の大敗に】

 前半22分に許した追加点も同様なパターンだった。右サイドでライス→ブカヨ・サカ(イングランド代表)→ティンバーと回ってきたボールを受けたパーティが、スポルティングのウイングバック、アラウホの背後に縦パスを送った。

 これを外側から走ったサカが折り返すと、ゴール前に詰めたカイ・ハバーツ(ドイツ代表)が難なくプッシュ。2-0としたわけだが、アラウホがトーマスのパスに屈した時点で、5バックは後方を固めるという本来の意味を失っていた。守田はこのシーンでもボールの近くでプレーに絡んだが、またもや決定的なパスを見送るばかりだった。

 スポルティングの3バックは、3FWが開き気味に構えるため、森保式3バックより構造的には5バックになりにくい。多少、攻撃的と言えるが、後方を固めることに主眼を置く3バックであることに変わりはない。

 結果は1-5。スポルティングがミケル・アルテタ監督率いるアーセナルに実力差以上にやられる姿を、代表ウィーク明けすぐに見せられると、「森保ジャパンはこう崩せ」と言われているような気にさせられる。

 守田の個人的な出来は可も不可もなし、だった。後半2分、自らのパスでチャンスを作り、自らシュートに持ち込んだプレー(相手GKにセーブされる)を最大限に評価すれば、採点は10満点の6.5となるが、プレミアリーグ関係者たちの目を惹くプレーができたかと言えば、難しいと言わざるを得ない。結果的によくないサッカーを強いられたチームのなかに埋没した印象だ。

 この結果、スポルティングは暫定順位ながら2位から8位に後退。アーセナルは14位から7位に浮上した。

著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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