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サッカー日本代表がアーセナルと戦えば...守田英正、「こう崩せ」と言わんばかりの攻撃に屈す (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【スポルティングの5バックが崩壊】

 その余勢を駆り、どれほどこのアーセナル戦で活躍できるか。CLにおける強豪との対戦は自己アピールの場でもある。名門クラブに移籍した前監督に続きたいと願うのは守田に限った話ではない。スポルティングの善戦健闘が期待された。

 ところが待ち受けていたのはシビアな現実だった。

 開始7分。アーセナルは右サイドに人数をかけてパスを回す。マルティン・ウーデゴール(ノルウェー代表)、トーマス・パーティ(ガーナ代表)、デクラン・ライス(イングランド代表)のパス交換から、大外で開いて構える右SBユリエン・ティンバー(オランダ代表)にパスが出ると、対峙するスポルティングの左サイドは崩壊状態に陥った。ティンバーがゴール前に差し込むように折り返すと、ゴール前には左ウイングのガブリエル・マルティネッリ(ブラジル代表)が逆サイドから詰めていた。先制ゴールが決まった瞬間である。

 5バックで守りを固めるチーム(スポルティング)をどう崩すかという設問に対する、教科書どおりの解答だった。狙い目は両サイド。相手のウイングバックの裏を外側から、薄紙を剥ぐように丹念に突く――。

 この場合、スポルティングの左ウイングバック、マクシミリアーノ・アラウホ(ウルグアイ代表)の裏になるが、アーセナルはここに狙いをつけ、その周辺に5対4の数的優位の関係を築きながら深い位置を突いた。ティンバーがマイナス気味に折り返せば、中央は2対2に。3人のCBのうち左のゴンサロ・イナシオ(ポルトガル代表)は、左サイドにおびき出されてしまい、逆サイドのウイングバック、ジョバンニ・クエンダ(ポルトガル代表)も、ゴール前をカバーしきれなかった。

 最終ラインにDFを5人も配しながら、スポルティングはあっけなく崩された。守田もバリバリの当事者だった。アーセナルの右サイドのパスワークに対峙したものの、手をこまねいているうちに決定的な折り返しをティンバーに許してしまった。技で負けた、力で負けたと言うより、理屈で負けた。落胆は大きいに違いない。

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