久保建英の60分交代を現地紙は「ハラキリのよう」 敵にストレスを与えられなくなった (2ページ目)
【先制されてから久保が躍動】
試合の序盤、久保は目立っていない。チーム自体が敵の激しさに押され気味で、ビルドアップもノッキング。ルカ・スチッチ、セルヒオ・ゴメスのふたりは前半、完全に消されていた。1トップに入ったミケル・オヤルサバルも、ユーロ2024優勝メンバーのダニエル・ビビアンと、先日代表デビューを飾ったアイトール・パレデスを押しのけて先発したジェライ・アルバレスのセンターバックコンビを前に沈黙。撃ち合いのなか、ガードするので精いっぱいだった。
そして25分、波状攻撃からニコ・ウィリアムズの折り返しをオイアン・サンセトにヘディングで叩きつけられてしまう。
久保が躍動を始めるのは、先制されたあとだった。
30分には左CKを自ら蹴り、精度の高いボールをマルティン・スビメンディの頭に合わせる。35分には、自らのパスがカットされても、すかさず奪い返し、チームに活気を与える。40分には味方がカットしたボールを自陣からカウンターを発動。迫ってきたひとりと入れ替わり、敵陣へ突き進む。結局、猛追してきた敵の背後からのファウルでイエローを誘発した。相手の必死の形相で、"どれだけ久保が危険な存在か"が伝わってきた。43分には左サイドのアンデル・バレネチェアが折り返した瞬間に反応し、押し下げたバックラインの正面前に入り、右足でシュートを放つが、これは味方に当たった。
チーム全体が不振のなか、得点の気配を放っていた久保だったが、「"火災"から救っていた数少ないメンバーだった久保を(交代で)消してしまった。それはまさにハラキリのようなものだ」
スペイン大手スポーツ紙『アス』の表現は痛烈だが、大げさでもない。交代後も、ラ・レアルの攻撃はほとんど改善されず、アスレティックに容易に試合をクローズされてしまったのである。
交代カードを比べると、アスレティックはアレックス・べレンゲル、ゴルカ・グルセタ、アンデル・エレーラなど実力者を次々に投入し、最後までペースが落ちなかった。信頼できる本職のセンターフォワードがひとりもいないラ・レアルと比べて、補強も含めたチームマネジメントで差が出たとも言える。
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