久保建英はなぜ先発できない? スペイン人記者が詳述するチーム事情とオヤルサバルとの関係 (4ページ目)
【オヤルサバルの好不調の影響を受ける久保】
ラ・レアルにとって難題なのは、クラブのスター選手であるオヤルサバルがトップフォームを取り戻すのに最適なポジションが不明瞭で、その問題を解決するための議論がクラブ内で毎日のように交わされている点だ。
オヤルサバルは2022年3月にヒザの前十字靭帯断裂の重傷を負ったあと、スキルとスピードが衰えた選手になった。そのためイマノル監督は昨季、スピードやドリブルをそれほど必要とせず、ゴールへの本能を生かすためにセンターフォワードで起用し、久保とバレネチェアをサイドに置くことで一定の結果を残した。
今夏、スペイン代表でユーロ決勝のイングランド戦で得点を記録し、チームの優勝に貢献。しかし、ほぼ休養を取らずにプレシーズンにもまともに参加できないまま今季をスタートしたのがあだとなり、フィジカルコンディションは最近までベストの状態からほど遠かった。
先述したように、イマノル監督はオヤルサバルが10月の代表戦で右ウイングとしてすばらしいパフォーマンスだったのに倣い、同ポジションで起用したことが功を奏した。しかしこれは、オヤルサバルをセンターフォワードで起用するという開幕当初のプランとは異なるものだ。オヤルサバルが今後も右サイドでプレーする場合、オーバーブッキングが生じ、とくに久保、バレネチェア、シェラルド・ベッカーに大きな影響を与えることになる。
オヤルサバルはこれまでどちらのポジションでもパフォーマンスに波があり、チームに貢献することもあれば、疑問を持たれることもあった。そのため、ベストの判断を下すのが難しいというのが正直なところだ。
しかし、オヤルサバルはここまでラ・レアルを引っ張ってきたクラブのシンボルである。そのためイマノル監督には彼を輝かせる方法を見つける義務があるのだ。とはいえ、彼の最高の瞬間はすでに過ぎ去っている可能性も捨てきれないが......。
オスカルソンや久保、セルヒオ・ゴメスのように、より若く、フィジカルコンディションが良好で、高価な選手たちもいる。彼らもクラブに大きな期待を寄せられているため、より多くの試合に出て経験を積み、さらに成長する必要がある。
オヤルサバルが本来のレベルを取り戻せるのか、それとも中途半端なままで終わるのかは時間が解決してくれるはずだ。
目下、ジョキン・アペリバイ会長の言葉によると、「オヤルサバルのポジションはセンターフォワード」とのことだ。しかし、イマノル監督は「ミケルはどこでプレーしようとも、カギとなる選手であるのは周知のとおりだ」と発言している。そのため久保への影響も考慮しつつ、今後の起用法を見守る必要があるだろう。
(髙橋智行●翻訳 translation by Takahashi Tomoyuki)
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著者プロフィール
高橋智行 (たかはし・ともゆき)
茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、リーガ・エスパニョーラを中心としたメディアの仕事に携わっている。
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