サッカー日本代表に吉報!中村敬斗がフランスで覚醒 伊東純也とのコンビでフィニッシュワークが進化 (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【チーム内競争においても大きくリード】

 そのザイール=エムリは、3-2-5の「2」に立つこともあれば、右ハーフレーンや右サイド大外レーンに立つこともある。守備時は4-4-2の陣形になるスタッド・ランスの左サイドハーフを担当する中村にとって、ザイール=エムリはどこにポジションを取るかわからない厄介な存在。チームにとっては、中村の守備対応が勝敗を分けるキーポイントでもあった。

 そんななか、中村はマークの受け渡しにミスが起きないよう、自分のポジション取りはもちろん、左SBのセルヒオ・アキエメや守備時には2トップの左に移動するフォファナに、さらにはボランチのふたりにも指をさしながら密なコミュニケーションを繰り返し、高い集中力で加入以来最高とも言える守備を披露したのだった。

 1−1で終わったこの試合でチーム唯一のゴールを決めたこともそうだが、PSG相手に見せた質の高い守備こそ、中村の成長を如実に示すものだった。しかも、中村のライバルでもあるデンマーク代表モハメド・ダラミーが長期離脱からベンチに復帰した試合だっただけに、チーム内競争においても中村は大きくリードすることができた。

 その後も、中村の進化は止まらない。その象徴が、第6節アンジェ戦の先制ゴールだ。

 今シーズンの中村は、左ハーフレーンに立ってボールを受ける役割を任されているが、このゴールシーンではボールホルダーのCBセドリック・キプレとアイコンタクトをかわした中村が、1トップのウマル・ディアキテがサイドに流れて空けた中央のスペースを見逃さず、一瞬だけ割れた相手CBの間に向かってオフサイドを回避するようにランニング。そのままキプレからのロングフィードを受けると、冷静にフィニッシュした。

 それはスタッド・ランスに加入してから初めて中村が見せたフィニッシュワークで、中村が持ち合わせる武器に、さらなるバリエーションが加わったことを意味する。

 第7節モンペリエ戦では、相手のクリアをボックス手前で回収したあと、ドリブルしながら相手を動かしてスーパーミドルを突き刺した。何もないところから独力で生み出したそのゴールも、中村の進化を示すプレーのひとつと言っていい。加えて、この試合では左から伊東ばりの高精度クロスでディアキテのゴールをアシスト。お膳立ての部分でも存在感を示すことに成功している。

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