サッカー日本代表に吉報!中村敬斗がフランスで覚醒 伊東純也とのコンビでフィニッシュワークが進化 (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【中村の真骨頂とも言える決勝弾】

 大きな転機となったのは、9月の代表ウィーク明けのナント戦(第4節)。エルスナー監督が代表から戻ったばかりの伊東を先発させた一方で、代表戦でプレータイムが少なかった中村を戦術的な理由で今シーズン初のベンチスタートに置いた試合だ。

 中村がピッチに登場したのは、1−1のタイスコアで迎えた後半73分。その試合でスタメンを奪われた新鋭フォファナに代わり、中村は持ち場の左ウイングに入った。

 すると後半アディショナルタイム、伊東のパスを抜群のタッチで止めた中村は、ブロックに入ったDFの股下を抜くコントロールショット。インサイドで狙いすましたテクニカルゴールは、高精度のフィニッシュワークを持ち味とする中村の真骨頂とも言える決勝弾となった。

 もし、この試合で中村にゴールが生まれていなければ、翌週のPSG戦で中村がスタメンに復帰することはなかったかもしれない。そう考えると、結果がすべての世界ゆえ、土壇場でチームを勝利に導いたこの1ゴールには計り知れない重みがある。

 いずれにしても、このゴールをきっかけに、中村は覚醒モードに突入した。

 続く第5節・PSG戦では、前半早々に伊東のクロスから今シーズン2ゴール目。ブロックに入ったマルキーニョスに一度ボールが当たったあとのシュートだったため、伊東のアシストにはならなかったが、2試合連続で日本代表コンビがゴールをこじ開けたことに変わりはない。

 注目を浴びる王者相手にゴールを決めたことで、中村自身も完全に波に乗ることができた。

 驚かされたのは、中村がこの試合で見せた守備面の貢献ぶりだ。

 相手のPSGは、ビルドアップ時に4-3-3から3-2-5に可変させてポゼッションを行なう攻撃的サッカーを実践。その可変システムのカギとなるのが、マイボール時にポジションを可変させる右サイドバックの選手だ。この試合では、フランス代表の若武者ワレン・ザイール=エムリが務めた。

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