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三笘薫、ドリブラーとしての「特殊能力」を発揮 チェルシーでもやっていけることを証明した (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

 三笘の場合、下を向かず、十分な視野を保ちながら、それをする。旧型のドリブラーはドリブルを始めると、独自の世界に入り込みがちだ。真ん中のドリブルはなおさらだ。難易度が高いため、ついボールを見てしまうのだ。その分、周囲の自軍選手とのコミュニケーションが取りにくくなる。周囲もそれを見ているだけになりがちだ。だが、そうした心配が三笘の真ん中ドリブルにはない。無謀さは皆無。クレバーさが保たれた縦突破なのだ。

 繰り返すが、これはチェルシーの左ウイング、サンチョにはない武器だ。彼と交代で入ったミハイロ・ムドリク(ウクライナ代表)についても同じことが言える。チェルシーファンの中にも、そうした三笘の特殊能力に気づいた人はいるはずだ。

 チェルシーで左ウイングを張る力が十分にあることを証明した一戦。筆者にはそう見えた。ブライトンは結局、いいサッカーをしながら4-2で敗れたが、三笘は最後まで特別な選手に見えた。ウイングバックではなくウイングで見たい選手だと、あらためて力説しておきたい。

著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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