スペイン五輪代表に久保建英の同僚・同門が多数 ユーロ2024組もいる優勝候補の全容 (3ページ目)
バエナもフェルミンと同じユーティリティタイプで、攻守両面で貢献できる。サイドでも中央でも、そのテクニックを生かし、チームに推進力を与えられる。くるくるとターンし、死角からのキラーパスなど、多彩な技を持つ。U-21欧州選手権では、セルヒオ・ゴメスが左サイドの時は中盤で起用されたが、ポジションにとらわれないインテリジェンスとテクニックは、アンドレス・イニエスタにも通じる。
チームを率いるサンティ・デニア監督は現役時代、ビルドアップに優れたセンターバックで、今のチームにも近い論理を当てはめている。その代名詞と言えるのが、急遽、招集したセンターバックのエリック・ガルシアだろう。
エリック・ガルシアはカタールW杯にもスペイン代表として出場している。ビルドアップ力は欧州屈指と言える一方、守備者としての強さや速さが足りない。長所と短所がはっきり出る選手だが、チームとして主導権を握った戦いをするため、監督のイメージを具現化できる存在として白羽の矢が立った。すでに代表デビューも飾っている17歳のパウ・クバルシと組むセンターバックは楽しみだ。
そして「切り札」と言えるのが、20歳のFWサムエル・オモロディオン(アラベス)だろう。
オモロディオンは身長193センチと大柄ながら、自在に動けるのが強みで、昨シーズンもラ・リーガで、相手をパワーや高さで圧倒している。2度のバルサ戦では、金星につながるゴールを連発。大舞台で力を発揮する強さを持った大型ストライカーだけに、パリ五輪をきっかけに大化けするかもしれない。
7月24日、スペインは五輪開幕式に先駆け、パルク・ド・フランスでウズベキスタンと戦いの火ぶたを切る。フランス、アルゼンチン、モロッコ、マリ、パラグアイなどとのメダル争いになるか。グループの勝ち上がり次第では、準々決勝で日本と対戦だ。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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