ユーロ2024でオランダを牽引するガクポ 活躍の源は「ひと振りで何かを起こせる」伝統のキック力 (3ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

【一芸で結果を出せるスペシャリスト】

 右へボールを持ち出して右足一閃。ガクポのカットインからのシュートは非常にシンプルだが、そのシンプルな形を成立させているのは193㎝の長身とリーチの長さだろう。

 カットインで右へ持ち出すドリブルは、大して速そうには見えない。しかし、リーチがあるのでボールは大きく動いている。右へ運ばれたボールは、相手DFからは届かない場所にあるが、ガクポには次のワンステップで蹴れる場所。リーチの差で体勢を崩さずにキックしている。

 右足を振れる状況さえ作れば、インステップの内側でボールの中心を叩いて真っ直ぐに飛ばせる。速くて、重くて、真っ直ぐ。ファーへ巻いていくシュート、クロスボールも得意だが、ボールの中心を捉える能力があるから、中心から微妙にズラすこともできるのだ。

 シンプルで絶対的なガクポのキックを活かすには、左サイドが最適だ。サイドへ張っているガクポへ渡せば、ひと振りで何かを起こせる。強蹴力の一芸で結果を出せるスペシャリストだ。

著者プロフィール

  • 西部謙司

    西部謙司 (にしべ・けんじ)

    1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。

【画像】オランダ、イングランド、スペイン、フランス ユーロ2024ベスト4のフォーメーション

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