久保建英の今季の激闘を振り返る 「ピリッとくる辛さ」で最終節も現地紙は高評価 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 シーズン前にノルウェー代表アレクサンダー・セルロートと完全移籍の契約を締結できなかったが、逃した魚は大きかったと言える。セルロートは移籍したビジャレアルで23得点。サディク、アンドレ・シウバはともに3得点だ。セルロートは久保とのコンビネーションもよかっただけに......。

 強化部門の失敗を背負ったイマノル・アルグアシル監督への批判は、お門違いだろう。下部組織スビエタと完璧な意思疎通が取れるアルグアシルが指揮官でなかったら、散々な結末になっていた可能性もある。そもそも今季は、ダビド・シルバを開幕前に失い、想定外のダメージを受けていた。久保だけでなく、アマリ・トラオレもアフリカ選手権で失うなか、最後まで戦いきったことはむしろ称賛に値する。

 そして、沈んでもおかしくなかった船の舵を取り、どうにか航海を続けさせた"キャプテン"が久保と言えるか。その点では救世主に近かった。ダビド・シルバ、セルロートの穴を埋めたのだ。

 来シーズンに関してはさまざまな噂が出ているが、久保は現状、2027年6月末までラ・レアルの契約選手である。最後に、ゴリスの啓示を引用しよう。

「ラ・レアルは下部組織から選手を輩出させながら、いいチームを作っている。そこにタケのように重要な選手たちが入って違いを出せれば、どんどん強くなる。勝つことで自信をつけて戦いに挑むことができたら、かつてのような快挙(ゴリスの時代のラ・リーガ連覇)を再現できるはずだ」

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