長谷部誠の活躍が「日本サッカーの流れをつくった」 福田正博が欧州サッカー今季の日本人選手を総括 (2ページ目)
【トップクラブでシーズンを通して活躍できるか】
これからはフランクフルトで指導者人生をスタートさせる長谷部だが、以前に会った時は「引退後は寿司屋になりたい」と笑っていた。職人気質の長谷部らしかったが、同じ職人でもやはり長谷部には"サッカー職人"としての仕事がよく似合う。
海外でプロ生活を終えた日本人選手が、海外で指導者になり、経験と実績を積み重ねてやがては海外のトップリーグの監督として采配をふるう。多くの日本人選手が海外でプレーする時代になったが、まだその道を歩む者はいない。長谷部がどんな道を切り開くかは、これからもしっかりと見守っていきたい。そして、いつかは海外で積んだ経験を日本代表監督として還元してくれることを期待している。
ほかの日本人選手たちの今季を振り返ると、三笘薫(ブライトン)も久保建英(レアル・ソシエダ)も、シーズン開幕当初は華々しい活躍を見せてくれた。三笘は昨季以上に警戒されるなかでも、切れ味鋭いドリブルで相手を何度となく翻弄。久保も開幕直前にチームの大黒柱であるダビド・シルバがケガのために引退し、攻撃の核としての期待が集まるなかで、それ以上のパフォーマンスを見せてくれた。
ただ、世界中のサッカーファンが目を見開くようなプレーを見せた両選手だったが、シーズンが進むなかで三笘は腰を故障して後半戦を棒に振り、久保も前半戦に見せたような切れを失い、終盤戦はベンチを温めることも多かった。
ここが日本人選手にとっての今後の課題だろう。
日本人選手の技量が高まっているのは間違いない。プレミアリーグやラ・リーガという世界屈指のリーグにあっても、瞬間的には強いインパクトを残すプレーができる。しかし、それがシーズンを通じて出すとなると、フィジカル強度で劣るギャップを埋めようと無理しているせいか、試合数が重なっての蓄積疲労などによってパフォーマンスが落ちてしまう。これは三笘や久保だけではなく、冨安健洋(アーセナル)にも言えることだ。
この課題を乗り越えられれば、もうひとつ先のステージに上がれるはずだ。日本人選手がCL決勝を争うようなクラブで、スタメンとしてシーズンを通じて活躍できる日を待ち望んでいる。
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