上田綺世が熱弁「プロに個を伸ばす監督は存在しない」 フェイエノールトで学んだ欧州サッカーの哲学 (4ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru

【体の預け方、駆け引き、山ほど失敗してきた】

 アルネは、そういう高いレベルでの戦術クオリティーが非常に優れているからこそ、認められてリバプールに行くんだと思います。環境とクオリティーが比例していれば、戦術もさらにハイレベルになる。リバプールに行けば選手のレベルがさらに上がり、アルネの求める戦術レベルもより高いものになる。しかし、アルネが求めることをリバプールの選手ができなければ、結果は出ないでしょう。

 そこは監督のさじ加減にもよりますが、監督と選手はお互いに結果を残すために、求め、求められてやっていくもの。だからアルネが『個を成長させる監督』なのではなく、アルネが求めるのであれば選手はやらなきゃいけないし、そこで成長できなければ終わっていくだけだと思います」

 オランダに来るまで"十八番"のランニングで相手の背後を突いてきた背番号9は、エクセルシオール戦でトラップからのターンで敵の背後を突いた。

「ボールの受け方とか、相手の体への預け方とか、駆け引きとか、山ほど失敗してきました。今シーズン、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ、そのほか......サンティ(レギュラーCFのサンティアゴ・ヒメネス)がケガしている時にちょっと出たりとかしても、全然ダメでしたけど、この4、5試合、少しずつ自分の形になってきた。練習でいろいろ挑戦したことを試合で繰り返しながら、きっかけを積み重ねて今があると思う。

 来シーズン、厳しい環境のなかで自分を積み上げて、それで結果を残すこと──それで自分の成長を実感できると思う。『1年前、2年前の自分と比べて、どのぐらい自分が成長できているか』。サッカーで一番のやりがいを感じるポイントは、やっぱりそこです。常に成長できる思考と環境が大事。僕はそう思います」

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