レバークーゼンがEL、ドルトムントがCL決勝進出 ブンデスリーガはなぜ強くなった? (3ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

【強豪耐性のあるドルトムント】

 昨季、最終節で優勝を逃したドルトムントは、レバークーゼンに比べると普通のチームである。

 得点はブンデスリーガ5強のなかでは最も少なく、失点数もバイエルンに次いで多い。有力な選手を揃えているが、いわば小型のバイエルンといえなくもない。

 しかし、格上の強豪がひしめくCLではむしろ割りきった戦い方で勝ち抜けてきた。守備の機能性が高く、縦にコンパクトなだけでなく、横半分にフィールドプレーヤーほぼ全員が入り込む圧縮をみせる。そしてドニエル・マレン、ジェイドン・サンチョ、カリム・アデイェミの俊足ウイングがカウンターを仕掛けていく。

 準決勝のパリ・サンジェルマン戦の第2戦(5月7日)では、用意周到さを見せていた。

 個の能力で圧倒的なキリアン・エムバペにどう対処するかが焦点だったが、ドルトムントはエムバペに対してどう守るかよりも、エムバペの背後を攻撃することで活路を拓いている。

 左ウイングのエムバペは守備の時は戻らずに前線に居残る傾向がある。カウンターの切り札として前残りさせているわけだが、その分ドルトムントはタイミングよく右から攻め込めば、数的優位を作れる可能性があった。

 そこでビルドアップでは左側にボールを展開し、PSGの3トップがドルトムントの4バックに対して右にずれながらプレスするように仕向けた。左ウイングのエムバペはドルトムントの右センターバック、マッツ・フンメルスをマークする形だ。そして、そこから一気に逆サイドへロングパスを送り、右サイドバック(SB)ユリアン・リエルソンをフリーにする。

 リエルソンとサンチョのふたりに対して、PSGは左SBひとりという形になった。このルートで何度となく攻め込んでいた。エムバペが守備に下がってくれれば、それはそれで最大の脅威をゴールから遠ざけることができる。

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