バルサ復活のカギを握るのは下部組織出身者 10代「特級タレント」が続々と台頭 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【他にもタレントを次々と輩出】

 一方、クバルシは最近17歳になったばかりで、ナポリ戦では同じラ・マシア組のロナルド・アラウホとセンターバックでコンビを組み、ゲームMVPに選出されている。

「プジョル2世」

 1999年から2014年までラ・マシアから昇格してバルサのディフェンダーとしてあらゆるタイトルを勝ち獲ったキャプテン、プジョルとの比較も言いすぎではない。

 クバルシは、ナポリのヴィクター・オシムヘンのような強力アタッカーを相手にしても空中戦で負けず、タックルはすべて成功し、5度のインターセプトを記録。威風すら漂う落ちつきで、パス成功率は94%だった。攻守のバランスを能動的に取り、主導権を与えていない。ユース年代のセンターバックが、パワーも老練さも身につけた"大人の選手"を封じるのは至難の業。底知れない器だ。

 そしてフェルミンは、優秀なMFを数多く生み出してきたラ・マシアの傑作品だろう。グアルディオラ、シャビ、イニエスタ、セスク・ファブレガス、ブスケツ、ガビと、時代とともにプレースタイルはアップデートされてきたが、その最新版と言える。つなぎのボール技術だけでなく、守備でも強度を与え、何より前線に入る感覚に優れる。ナポリ戦(セカンドレング)の先制点はその典型だ。

 これだけの"特級タレント"を下部組織から続けて輩出しているクラブは、欧州にどこにもない。

 ナポリ戦ではベンチ入りしただけで出番はなかったが、18歳のFWマルク・ギウも大器と言える。昨年10月、トップデビューしたアスレティック・ビルバオ戦でいきなりゴール。すでにCLグループリーグでも得点を記録した。187センチと大きな体躯で大胆かつ繊細なプレーを得意とし、過去のラ・マシア出身のFWと比べても異色だ。

 他に18歳の左利きアタッカー、ダニ・ロドリゲスも雷撃のような仕掛けが武器で、同じ18歳のプレーメーカー、パウ・プリムは「ブスケツ2世」と期待される。20歳のマルク・カサドはナポリ戦もベンチ入りし、本来はMFだが、右サイドバックもできる抜群のユーティリティ性で、セルジ・ロベルトに近い。

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