久保建英が古巣相手に見せたエースの本性とファンへの敬意 現地紙は「日本人の偉大なゲーム」と絶賛 (2ページ目)
【試合終盤は独壇場に】
マジョルカは左ウィングバックのハウメ・コスタ、左センターバックのマティヤ・ナスタシッチ、左MFのダニ・ロドリゲスの3人で囲んできたが、久保はその封印を跳ねのける。相手の封じる力のほうが削がれるほどだった。かつて自らを凡庸な守備システムにはめ込もうとしたハビエル・アギーレ監督に目にもの見せた格好だ。
37分だった。カウンターからウマル・サディクがポストに失敗するも、味方のイゴール・スベルディアがボールをとり返し、右サイドでパスを受けた久保がドリブルに入る。対峙したナスタシッチをあざ笑うようにバランスを崩させ、足を出させて空いた空間に鋭い軌道の左足シュートを打ちこみ、GKの手を弾く一撃をファーサイドに決めた。
前半アディショナルタイムにマジョルカの選手が退場になると、数的不利になった相手を、久保は徐々に追い込んでいった。カットインで倒され、ファウルからFK。ふたりを引きつけ、トラオレのクロスをアシストした。右へ相手を動かし、フリーになったブライス・メンデスにパスすると、そのクロスが際どいシーンを作った。
64分にサディク、アルセン・ザハリャンというブレーキになっていた二人が下がり、アンデル・バレネチェア、アンドレ・シルバが交代で入ると、久保の独壇場となる。ボールに触るたび、相手に戦慄が走った。そこで、アギーレ監督はたまらず、コスタ、ロドリゲスの二人を下げ、新たにトニ・ラト、セルジ・ダルデルを投入したが、久保の躍動は止まらない。
後半アディショナルタイム、久保はFKからのキックで決定機を作り出す。さらにセカンドボールを拾い、ラトを翻弄して打った左足シュートがわずかにバーを越える。ゴールこそ決まらなかったが、ラトを精神的に追い込んでいた。すると最後のクロスで、ラトは無用に下がりすぎてラインを崩し、メリーノのヘディングが決まった。
久保が与えてきた圧力が、メンタルを崩壊させていたのだ。
「許されし者」
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