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三笘薫、「一発レッド」を誘発 「引いた相手をどう攻めるか」のお手本を披露した (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【完璧に相手を出し抜くフェイント】

 開始3分のシーンがそうだったように、CBはウイングバックやSBに比べると、サイドで踏むステップがドタドタしがちだ。体格の問題もあるが、巧緻性という点で、CBはSBやウイングバックに劣りがちだ。

 5人で守りながら2人がサイドにおびき出されれば、真ん中の守りは2人になる。逆サイドのウイングバックがそこに加わるケースはさほどないが、それを加えても3人だ。

 引いた相手に対してどう攻めるか。「相手が引いてしまったのでスペースがなかった」とは、たとえば日本代表が弱者相手に苦戦したとき、聞こえてくる言い訳だ。これはまさに、大外から薄皮を1枚1枚剥ぐように丹念に崩していくことで活路が見出せるとの概念が浸透していない、何よりの証拠になる。スペースがなかった、で話が完結。思考を停止させる。解決策を探ろうと、そこから先に進もうとしない。

 その点については森保ジャパンも追究は甘い。筆者がバルセロナ監督だったヨハン・クライフに話を聞いたのは、いまからおよそ30年前になるが、彼は当時からそれについて、「重要なことだ」と口にしていた。弟子のジョゼップ・グアルディオラしかり。監督になった瞬間から相手のウイングバック、SBの裏を意図的に突こうとした。大外に狙いをつける攻撃については、現地のメディアの間でさえ常識として浸透していた。

 ブライトンの左SBと左ウイングは、森保ジャパンにはないアイデアを発揮。ブレイズを翻弄した。

 三笘にこの日一番の見せ場が訪れたのは前半29分だった。ダンクのパスを大外で受けると、相手の右ウイングバック、ジェイデン・ボーグル(元U-20イングランド代表)と1対1の関係になった。三笘は例によって仕掛けた。いたぶるような動きで縦抜けの機をうかがった。カバーに入った相手のMFグスタボ・ハメル(元U-20オランダ代表)が、楽観的にも縦を切らず、カットインを警戒するポジションを取ったことも幸いした。

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