三笘薫、「一発レッド」を誘発 「引いた相手をどう攻めるか」のお手本を披露した (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

 三笘は次の瞬間、自慢のマジックを披露した。内に行くと見せて切り返し、縦を突いた。ボーグルの逆を100%突く圧倒的な切り返し。逆取りのアクションだった。ここまで完璧に相手を出し抜けるフェイントを持つ選手はザラにいない。まさしく絵になる、芸術の域に達するフェイントだった。

 縦突破を決め、最深部に侵入すると今度は方向を変え、ゴールラインと並行にドリブルを開始。右足でゴール前にシュート気味の折り返しを送った。結果はこれもゴールには至らなかったが。

 相手がひとりならほぼ抜ける。これが当たり前の観戦の基準になっているので、要求はおのずと高くなる。ほしいのはゴールだ。ブライトンは結果的に5-0で大勝しただけに、1点ぐらいは決めたかった。それができればスーパースターとなるのだが......。

 ブライトンの順位は、この大勝劇で9位から7位に上昇(第25節終了時点)。ヨーロッパリーグ(EL)出場圏内が見えてきた。ここからどこまで追い込めるか。そのカギを握るのが三笘のウイングプレー&得点力になる。

プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る