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バルサの末裔シャビを苦しめた「悲痛な縛り」6月を待たず最悪のエンディングも (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【緊急事態は重なる】

 シャビは人員整理をしながら、2年目の昨シーズンは、ジュル・クンデ、アンドレアス・クリステンセンなどを補強し、守備を再建した。呼応するようにGKマルク・アンドレ・テア・シュテーゲンがスーパーセーブを連発。一方、前線にはロベルト・レバンドフスキを獲得し、決定力不足を解消した。攻守の両輪を回し、ラ・リーガ優勝をつかみ取った。

 そして今シーズン、シャビはイルカイ・ギュンドアン、ジョアン・フェリックス、ジョアン・カンセロ、オリオル・ロメウ、イニゴ・マルティネスなど有力選手を次々に獲得した。彼らはそれぞれ実力のある選手だった。ただ、この1年で人を入れ替えすぎたため、ひとつに束ねられなくなった。

 何より、セルヒオ・ブスケッツのMLSへの放出が深刻なエラーを発生させた。

 昨シーズンのブスケッツは攻守を連結させ、チームをひとつにしていた。ボールを受けると失わず、それが味方にアドバンテージを与え、相手ボールではポジションを取って周りを動かし、インターセプトにつなげていた。その代わりは誰もできなかった。

 代役を期待されたギュンドアンは健闘していると言えるだろう。シャビの命を受けて手足となり、ゴール前に神出鬼没で入るなど、ダイナミズムも与えている。ただ、司令塔としてはブスケッツの代わりはできないし、他の選手との組み合わせで補完しようにも、フレンキー・デ・ヨング、ペドリはケガで戦列を離れる試合が多く、ガビは大ケガに見舞われ、ロメウは力不足だった。

 緊急事態は重なった。

 昨シーズンのエース、レバンドフスキには昔日の面影がない。腰の強さがなくなり、パワーや精度を失いつつある。積み重ねた経験で、ラ・リーガで10~15得点は堅いが、それではバルサのエースFWとして不十分だ。

 さらに守護神テア・シュテーゲンは背中のケガで長期離脱している。代役イニャキ・ペーニャは下部組織ラ・マシア出身で、チームを救うセーブも見せるなど、悪くはないのだが......。

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