バルサ、10代選手の台頭&フェリックス加入で一新 改革の成果問われるクラシコへ (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【最年少得点もフェリックスのパスから】

 守備を再編成したことで、シャビ監督はようやく本格的改革に着手した。

 セルヒオ・ブスケッツの退団は、「ひとりの選手では埋まらない」と判断し、ドイツ代表イルカイ・ギュンドアン、下部組織ラ・マシア育ちのオリオル・ロメウの2人を獲得し、調整した。懸案だった右サイドバックにはポルトガル代表ジョアン・カンセロを手に入れ、プレーメイクでも厚みを作れるようになった。何より、ポルトガル代表FWフェリックスの入団は、シャビ・バルサに足りなかった「ファンタジー」をもたらした。

 フェリックスは、違いを出せるファンタジスタである。前節のアスレティック・ビルバオ戦も、フィジカルと闘争心を前面に押し出したディフェンスに遭いながら、随所で華やかな技術を見せた。倒されても立ち上がってボールを受けると、エリア外から右足を鋭く振り抜いた。また、浮き球をコントロールしてゴールに迫り、滑らかなターンから右足で美しい軌道のシュートを放った。

 真骨頂は決勝点の場面だ。

 センターバック、イニゴ・マルティネスの左足パスをギャップで受けることに成功すると、ワンタッチで鮮やかにターン。交代出場で入ったばかりの17歳のFWマルク・ギウに絶妙なスルーパスを通し、得点が決まった。

<何かやってくれる予感>

 それはメッシ以後、久々のものだ。

 筆者は以前の原稿で、「フェリックスのゼロトップを推す」と書いたことがある。アスレティック戦はレバンドフスキがケガで不在。図らずも、その形になったが、前線を自由に行き来し、脅威を与えていた。

 一方、ギウはデビュー戦ゴールを決め、「下部組織ラ・マシア=バルサ」だとあらためて証明した。

 ギウは今年6月のヴィッセル神戸戦で、非公式トップデビュー戦を飾っていた。U-17欧州選手権でスペイン代表として得点王に輝いた次世代ストライカーで、スポーツディレクターに就任したデコも絶賛。ビルバオ戦の出場後33秒でのファーストタッチゴールは特筆すべき記録だ。

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