久保建英を「神業の数々」と現地紙は絶賛 「うまい」選手から「怖い」選手へ

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 川森睦朗●撮影 Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

【シューターとしてトップレベルの判断】

 18分には、味方がつなげたボールを、右サイドで、1対1では封じられながらもシュート。27分にも相手2人を引きつけ、味方のブライス・メンデスにアシスト。これは決まらなかったが、チームとの調和のなかで輝いていた。

 そしてラ・レアルは29分、チームが押し込む展開から、FKをロビン・ル・ノルマンがボレーで叩き込み、先制に成功している。

 久保のハイライトは後半開始直後だった。47分、長いボールが前線に入って、左サイドをブライスが持ち込むと、中央に走るウマル・サディクへクロスを流したが、ボールに触れずにスルーする形に。そこへファーからフリーで走り込んできたのが久保だった。左足にセットすると、GKと瞬間的に駆け引きし、ゴールのファーサイドに打ち込むフォームでニアに鋭く打ち込んだ。

 シューターとしてトップレベルの判断だった。簡単なシーンにも映るが、やや時間があってGKの準備も間に合っていた。逆をとる必要があったが、焦らずに実行した。獲物を仕留めるハンターのメンタルで、少しも急所を外していない。

「久保は天才。またしても、その進撃で観客の心を射止め、(マーカーの)ユーリを混乱させていた。5得点目はスーパーだった。神業の数々で、本当にチームによく来てくれた」

 スペイン大手スポーツ紙『エル・ムンド・デポルティーボ』は、もう賛辞の言葉が尽きたかのように評している。

 この2点目は重い一撃となった。そして交代出場のミケル・オヤルサバルがとどめの3点目。試合の行方は決した。

 終盤、久保は苛立ったユーリとやり合う形になって、相手選手に詰め寄られるシーンがあった。アマリ・トラオレ、オヤルサバルが敵選手と久保の間に割って入っていった。久保は自ら仲間を助け、ゴールを決め、仲間を思うパフォーマンスをしたが、同時に仲間に助けられていたのだろう。お互いの絆で成り立っているラ・レアルらしい姿があった。

 そして、バスクには独自の戦いの流儀がある。

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