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鎌田大地、アトレティコの老獪さに嵌まる CL開幕、ラツィオは劇的弾でドロー発進 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AP/AFLO

【アトレティコはグリーズマン頼み】

 正確にはモラタが1トップで、グリーズマンはその周辺を左右に動き回る1トップ下という役回りだ。鎌田にもグリーズマン級の活躍を望みたいところだったが、こちらの頭をよぎったのは、日本代表でその鎌田と1トップ下のポジションを争う恰好になっている久保建英だ。

 左利きのアタッカーという点で両者は一致するが、グリーズマンの魅力は左利き選手にありがちな身体の開きがない点だ。右でも左でも、もちろん真ん中でも進行方向を読まれない。言い換えれば、苦もなくプレーする。適性エリアが広いのだ。

 たとえば先日のフランス代表とドイツ代表の一戦では、グリーズマンは4-2-3-1の右ウイングとしてプレーしている。1トップ下でも、左ウイングでも、さらに言えば1トップでもプレー可能だ。相手を背にしたプレーも普通にこなす臭みのなさが最大の特徴で、アトレティコの攻撃はそのグリーズマンの個人能力頼みになっていた。くどいようだが、キチンと攻めれば、ラツィオゴールをもっと脅かすことができたはずなのに、だ。

 90分プラス4分まで、そのシメオネの守備的な省エネサッカーはうまくいっていた。ラツィオGKプロヴェデルが最後の最後に決めたヘディング弾は、サッカーの神様がシメオネに据えたお灸のように見えた。

 シメオネのサッカーは年とともに守備的になっている。2019-20シーズンの決勝トーナメント1回戦でリバプールに劇的な逆転勝ちを収めた頃までは、いわゆる好チームに見えたが、それから重心は下がるばかりだ。勝ちたい気持ちがそうさせているのかどうかは定かではないが、CLの決勝トーナメントでは曲者ぶりを発揮できなくなっている。

 土壇場で許したこの同点弾を良薬とできるか。第三者的に見てもったいない気がする。一方、ラツィオは逆に強さはないが好チームといった印象だ。鎌田の頑張りとその成績は比例すると見た。次節のセルティック戦(現地時間10月4日)が楽しみだ。

 

久保建英や鎌田大地、三笘薫など日本人選手の活躍にも期待!
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著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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