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鎌田大地、アトレティコの老獪さに嵌まる CL開幕、ラツィオは劇的弾でドロー発進 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AP/AFLO

【大きなミスはなかったが...】

 1-0は、かつてのイタリアがそうであったように、守備的サッカーが追求する理想的なスコアだ。しかし同点に追いつかれ1-1で終わると、なぜもっとちゃんと攻めなかったのかと、一転、後悔の念に駆られることになる。アトレティコはいまその状態にある。

 もっとも前半29分に挙げたその先制点も、少々ラッキーなゴールだった。立役者は皮肉にも鎌田大地だった。右ウイングバック、ナウエル・モリーナ(アルゼンチン代表)が中央に折り返したボールを、スペイン期待の若手MFパブロ・バリオスがミドルシュート。その瞬間、鎌田の差し出した足にヒット。コースが変わりボールはゴールに吸い込まれていった。日本人的には少々、残念な光景だった。

チャンピオンズリーグで対戦した鎌田大地(ラツィオ)とアントワーヌ・グリーズマン(アトレティコ・マドリード)チャンピオンズリーグで対戦した鎌田大地(ラツィオ)とアントワーヌ・グリーズマン(アトレティコ・マドリード)この記事に関連する写真を見る ここまで国内リーグで4試合続けて、右のインサイドハーフとしてスタメンを飾っていた鎌田。CL出場は昨季に続いてこれが通算9試合目となるが、活躍度で見るならば、この日は決して高くはなかった。シュートは2本放っている。大きなミスをしたわけでもない。ただ、これは他の選手にも言えることだが、老獪なアトレティコの守備的サッカーに嵌まってしまったという感じだ。目を引く活躍ができぬまま、鎌田は後半17分という早い時間に、フランス代表のマテオ・ゲンドゥージと交代でベンチに下がることになった。

 少なくとも前半、ラツィオは6割方ボールを支配していた。不運なゴールを食らったものの、攻撃的サッカーを貫くことはできた。ただ、俗に言う「持たされた」状態にも見えた。アトレティコは、正攻法で戦えばラツィオと互角以上に渡り合えそうな戦力を備えているにもかかわらず、後方に待機しているという感じで、そうした底力の程は、少人数で攻撃に出た際に見て取ることができた。

 その中心になっていたのが5-3-2の2トップを、アルバロ・モラタ(スペイン代表)とともに張ったアントワーヌ・グリーズマン(フランス代表)だ。両軍のなかで最も優れた選手であることは言うまでもない。

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