遠藤航のリバプール移籍に福田正博が感心 「ビッグクラブへの移籍を見据え、しっかり準備できていたのがすごい」 (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

【しっかり能力を高めてきた努力を見逃してはいけない】

 遠藤は30歳だ。もちろん、年齢的には30歳前後でビッグクラブに移籍する選手もいる。ただし、それはビッグクラブに近いレベルのチームでプレーしていた場合がほとんどだ。

 遠藤がプレーしていたシュツットガルトは、プレミアリーグより格の落ちるブンデスリーガで1部残留を争っていたクラブである。それゆえUEFAチャンピオンズリーグ(CL)もヨーロッパリーグ(EL)の出場経験もない。クラブのヒエラルキーがはっきりしているヨーロッパサッカーの世界で、ビッグクラブへのステップアップが難しい現状は遠藤も理解していた。

 それでもブンデスリーガで存在感を放っていたデュエル王に声がかかったのだから、すばらしい話だ。

 ここで見逃してはいけないのが、遠藤は訪れないかもしれないその時に向けて、ピッチ内外で準備をしっかり進めてきたという点だ。

 デュエルも含めたプレーの部分もそうだし、コミュニケーション能力もしかり。ひと昔前までなら「ボールがあれば、言葉ができなくても通じる」という考えが海外組の日本人選手にはあったが、いまやそういう時代ではない。長谷部誠や吉田麻也、三笘薫など、海外でバリバリプレーする選手は、きっちり現地の言葉を操っている。遠藤もしっかりと英語をマスターして準備してきた。

 もちろん、海外クラブと言ってもレベルはさまざまなため、下位クラブならプレー面でお山の大将的な存在になれれば、言葉が不自由でもやれるだろう。だが、そこからのステップアップを視野に入れるなら、やはりコミュニケーション能力は不可欠なもの。また前線の選手と違って、守備側の選手は周囲とのコミュニケーションは避けられない。

 そこを見据えて、遠藤がしっかり能力を高めてきた努力を見逃してはいけない。プロ選手を目指している子どもたちには、遠藤のこうした準備の部分を見習ってもらいたいと思う。

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