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ネイマール、アル・ヒラル移籍の全内幕 バルサ復帰は絶たれ、他に選択肢はなかった (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【エムバペ黒幕説に「いいね」】

 8月6日、ネイマールはパリを出ていきたいとチームに告げた。ネイマールとの契約はまだあと2年残っていたが、PSGが引き留めることはなく、それどころか彼のこの移籍宣言をさっさと公にしてしまった。

「残念ながらネイマールは新シーズンには残りません。彼は移籍市場に載っています」(PSGのプレスリリース)

 ちなみに日本ツアーの際に、ネイマールはルイス・エンリケ監督から面と向かって構想外を告げられたとも言われている。そう考えると、日本で一度もピッチに立たなかったのも納得がいく。いくら日本の子どもたちがネイマールコールをしても――。

 ネイマールとPSGの一連の対立の裏にはエムバペがいるとも噂されている。エムバペは、ネイマールやメッシと一緒にいることが好きではなかった。昨年の契約更新時、エムバペはチーム側とある約束を交わしたと言われている。それは「プレーしたい選手を選べる権利」だ。これについてエムバペ自身は何も語っていないが、彼の母親がフランスのテレビ局『TF1』のインタビューで「私たちがPSGの決定に関われることをうれしく思う」と言っている。今回、それを行使したのかどうかはわからないが、メッシは出ていった。残るはネイマールだ。

 同時にエムバペはこの5月、『フランスフットボール』誌のインタビューでPSGに対する不満を公にし、レアル・マドリードに行きたいことを匂わせていた。エムバペはいまだ去就を明らかにはしていないが、PSGがさっさとネイマールが出ていくことを発表したのは、エムバペを引き留めるためだったとも言われている。実際、ネイマールのアル・ヒラル行きが決まった直後、エムバペはチームの練習に合流した。

 こうした一連の「エムバペ黒幕説」が書かれたSNSの投稿に、ネイマール本人が「いいね」をした。

 ネイマールが移籍しようと考えていたチームは、他でもないバルセロナだった。これは異論をはさむ余地がない。それはメッシと同じだ。バルセロナには家もあるし、息子もいる、陽気なスペインは彼にあっているし、スペイン料理も大好きだ。バルセロナもネイマールをほしいと思っていた。

 しかし、ここで大きな計算違いが起こる。メッシの移籍を阻んだリーガのファイナンシャルフェアプレーが、ネイマール獲得にもまたストップをかけたのだ。ネイマールが年俸を下げればいいと考えたかもしれないが、そう簡単にはいかない。この決まりでは、選手は好き勝手に報酬額を下げることはできない。これまでの収入に見合った額を払う必要があるのだ。

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