久保建英10歳時の驚きエピソード 当時のコーチが語る3つの特徴「技術、思考力、メンタル」 (2ページ目)
【メンタルは別格でした】
常に考えながらプレーし、状況に適した判断を簡単にやってのける。わずか10歳前後でそれができるのだから、百戦錬磨の髙﨑も舌を巻くしかなかった。
「たとえばシュートをして、ゴールの枠を外したとします。すると微調整して、次は同じ角度から必ず決めるんです。ミスをした時に、ボールの置きどころや触り方、タッチの仕方がおかしかったって、自分で気がつける選手でした。プロの世界でも、そんな選手は多くはないと思います」
自分を客観視することに加え、強烈な向上心、負けず嫌い精神も持ち合わせていた。たとえば「4ゴールゲーム」という、ゴールを4つ設置して行なうミニゲームがある。
10分もすると、両チームとも多くのゴールが生まれるので、点差をないがしろにしがちだ。しかし久保は、常に両チームの得点数をカウントし、「相手チームのあの選手が2点、味方のこの選手が3点、自分が4点」と、正確に把握していたという。
「子どもの頃から、徹底的に勝負にこだわっていました。仲間が何点とったから、自分はその上を行くという負けず嫌いで、勝つためにやるんだという気持ちが顕著。彼のメンタルは、いままで指導してきた選手のなかで別格でしたね」
髙﨑のもとで半年プレーした後、久保はスペインへと渡った。冬休みに帰国し、フロンターレのグラウンドで汗を流したことがあった。その姿を見て、変化に驚いたという。
「ボールの持ち方が、わずかだけど変わっていたんです。それを見た時に、ああ、これが正解なんだってピンと来ました。日本にいた時もボールの置きどころは意識させていましたが、置く位置がミリ単位で違うと、立ち姿というか雰囲気が変わるんです。スペインから戻ってきたタケを見た時に、これが正解だって気づけました」
ほかにも、スペイン帰りの久保から学んだことはたくさんあった。2時間の練習中、90分が経過したところで久保が「もうできない」と座り込んだことがあった。
「スペインに行ったことで、頭をフル回転させて、90分の練習のなかですべてを出しきる身体になったんだなと感心しました。タケは『バルサは毎日の練習が戦いで、週末のリーグ戦に出るために、平日の練習がすべて』と言っていました。彼らにとって、リーグ戦はご褒美みたいなものなんです。その環境に加えて、アンス・ファティやエリック・ガルシアなどとやり合っているのだから、成長スピードも速くなりますよね」
2 / 3