マンチェスター・シティCL制覇のキーマンを風間八宏が解説「陰の中心選手」ギュンドアンはどこがすごいのか (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

【シティのサッカーで自分の能力を最大限に発揮】

 ギュンドアンと言えば、カタールW杯で日本がドイツを破った試合で、ダブルボランチの一角として先発していたドイツ代表MFだ。日本のサッカーファンにとってはお馴染みとも言える選手だが、あの試合ではギュンドアンが活躍した印象はほとんどない。

 なぜドイツ代表でギュンドアンは輝けなかったのか、風間氏が指摘する。

「わかりやすく言えば、シティのサッカーとドイツ代表のサッカーが違うからです。シティのサッカーは、ドイツ代表よりも圧倒的に時間が速くて距離も短い。ドイツ代表が一般道の制限速度のなかでプレーしているとすれば、シティは高速道路の速度でサッカーをしているということです。

 要するに、ギュンドアンが実力を発揮しやすいのがシティのサッカーで、ドイツ代表のなかだと自分のプレー速度を最大限に生かせないので、ブレーキを踏みながらプレーしているような感覚なのではないでしょうか。

 たとえば、シティのサッカーはほとんどの相手に対して押し込んで攻めることができるうえ、選手間の距離も近いので走る場所はほとんどありません。ギュンドアンは足が速い選手ではありませんが、逆に、頭の回転や"目"が速く、ボールを正確に扱えることによって速くプレーすることができるので、それに合っている。

 おそらくギュンドアンにとっては、選手間の距離が遠く、ひとつひとつのプレー速度が速くないドイツ代表より、ハーランドがラストピースとして加わってほぼ完成形になったシティのサッカーこそが、自分の能力を最大限に発揮できるのだと思います。

 シティに加入してからは苦労していた印象もあったので、落ちてきたのかなと思った時期もありましたが、シティのサッカーが進化していくなかで、しっかりとフィットすることができた。ある意味、ようやく自分に合ったサッカーと出会うことができたと言ってもいいでしょう」

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