「セリエA復権」となるか 欧州3大カップ戦決勝すべてに登場 イタリア人記者が疑り深くも期待する理由 (2ページ目)

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【前線にイタリア人はほとんどいない】

 たとえばCLファイナリストのインテルの主力選手中、イタリア人は3人。フランチェスコ・アチェルビ、アレッサンドロ・バストーニ、ニコロ・バレッラだけだ。ふたりはDFでひとりはMF。前線にはイタリア人の影もない。アルゼンチンのラウタロ・マルティネスにベルギーのロメル・ルカクに、ボスニアのエディン・ジェコがストライカーを務める。

 同じことはELファイナリストのローマにも言える。トップのコンビはイングランドのタミー・アブラハムとアルゼンチンのパウロ・ディバラだ。フィオレンティーナでもFWはブラジルのアルトゥール・カブラウ、セルビアのルカ・ヨビッチ、アルゼンチンのニコラス・ゴンサレスが務める。MFも同じようなものだ。

 つまり、どこも「イタリアのチーム」ではあるが、イタリアの三色旗を背負う者は非常に少ないのだ。こうした状況を大いに懸念しているのがイタリア代表監督のロベルト・マンチーニだ。彼は代表に選手を招集する際、いつも頭を抱えている。呼べる選手はどんどん減っていて、特にFW不足は深刻だ。2021年の欧州選手権では予想外の勝利を収めたが、その後のカタールW杯で出場権さえも手に入れられなかったことが、この問題の大きさを証明している。

 話が少し暗くなってしまったが、今は目の前にある3つの決勝を見てみよう。

 インテルはイスタンブールで、現在世界最強の(あくまでも個人的な意見だが)ジョゼップ・グアルディオラ率いるマンチェスター・シティと対峙する。カルロ・アンチェロッティのレアル・マドリードを4-0(準決勝第2戦)で破ったことがその強さを如実に示している。シティは圧倒的な強さと美しさを兼ね備える数少ないチームだ。インテルが劣勢なのは明らか。しかし、この劣勢が逆にインテルの武器となる可能性もある。

「シティを負かせばとんでもない快挙。負けても当たり前だから責められることはない」

 こうした立ち位置はインテルの選手たちを重圧から解放する。少なくともシティの選手が感じているようなプレッシャーは彼らにないだろう。大方の予想ではインテルは敗れることになっている。しかし一発勝負の試合では何が起こるかわからない。過去にそんな例はゴマンとある。まあ、どうなるか結果を見てみよう。

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