三笘薫は「出場時間モンスター」で決勝弾アシスト EL出場権獲得もこのブライトンの見納めは近い (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Colorsport/AFLO

【やさしいラストパスでアシスト】

 迎えた21分のプレーも、そういう意味で三笘らしかった。相手GKアレックス・マッカーシーとCBベドナレクのパス交換が乱れると、三笘は疾風のごとく現れ、ボールをさらい、ゴール正面で再度フリーの状態になった。力感のないフォームから放たれたのは、ゴールにパスを流し込むような軽やかなシュートだった。ところが、このシュートは左ポストを直撃する。ゴールはならなかった。

 そうこうしている間に試合は動く。前半29分、ブライトンはアイルランド代表の18歳、1トップを務めるエバン・ファーガソンの強引なシュートで先制する。

 サウサンプトンは現在20位。来季の降格がすでに決まっている最下位チームだ。プレミアのレベルがいくら高いとはいえ、6位ブライトンとの差は明白だった。40分、追加点が生まれたシーンもパスワークの乱れに起因していた。攻守が切り替わったのはブライトン陣内に3分の1ほど入った地点で、ボールを拾ったのは三笘だった。

 タッチライン際を行く三笘の前に立ちはだかるベルギー代表の19歳、ロメオ・ラビアを反則気味のアクションでなぎ倒すように前進。いつにない荒々しいムードを醸し出しながらトップスピードに乗り、それに合わせるように右足でボールを5回、6回と突いて出た。

 瞬間、蘇ったのは開始9分、11分に敢行した縦抜けのシーンだ。強引にも深々とゴールライン際まで進出し、左足でマイナスの折り返しを狙うものと思われた。だが、三笘は予想とは裏腹に、左足のアウトで中央を走るファーガソンにスライス回転の効いた、グラウンダーのやさしいラストパスを送り込んだ。一転してクールなプレーに及んだ三笘。剛と柔を使い分けるようなこのウイングプレーが、ブライトンに貴重な追加点をもたらしたのだった。

 試合は後半サウサンプトンが盛り返し、13分に1点差に迫るが、ブライトンは後半24分、グロスがダメ押しとなる3点目を決め、3-1で勝利した。三笘は後半43分、途中交代でベンチに下がった。今年に入ってからリーグ戦で先発した19試合中、途中で退くのは4試合目となる。世界広しといえど、ここまで「出場時間モンスター」な左ウイングは幾人もいないはずだ。

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