三笘薫、ゴール取り消しでCL圏争いから後退 そのウイングプレーが冴えるか冴えないかがブライトンの浮沈を握る (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Colorsport/AFLO

【決勝点はハリー・ケイン】

 ブライトンには運もなかった。前述の三笘が取られたハンドだけではない。後半10分、元イングランド代表のCB、ダニー・ウェルベックが決めたかに見えたシュートも、VARの結果、マクアリスターの手に当たってコースが変わったと判定された。運が結果の3割に影響を及ぼすとされるサッカー競技の本質をまざまざと見せつけられた試合といっても過言ではない。

 スパーズに勝ち越しゴールが生まれたのは後半36分。発端はブライトンの左CB、アダム・ウェブスターが三笘に送った縦パスだった。三笘がダイレクトでマクアリスターに預けようとした横パスを、スパーズのロメロに奪われたことが痛手となった。

 ロメロからのパスを受けたソン・フンミンが右サイドを縦に走ったデンマーク代表の守備的MFピエーミル・ホイビュアにパスを送る。そのマイナスの折り返しをイングランド代表の1トップ、ハリー・ケインがサイドネットに蹴り込み、スパーズは2-1とリードした。

 後半の追加タイムは6分。右のマーチが巧みな足技で中央に折り返すと、中央で高々とジャンプしたのは三笘だった。ヘディングには勝った。しかし枠には飛ばなかった。これがこの試合の最後のプレーになった。

 瞬間、前半17分の三笘の胸トラップ&シュートがハンドを取られたシーンが頭をよぎった。つい"タラレバ話"をしたくなった。しかし一方で、十八番であるはずのウイングプレーで見せ場が作れなかったことも事実だ。三笘にとって反省点の多い試合になった。

 大一番を落としたブライトンは、CL出場圏内の4位マンチェスター・ユナイテッドとの勝ち点差を10にまで広げられた。順位もこの日、ノッティンガム・フォレストに勝利したアストンビラに抜かれ、ヨーロッパリーグ出場圏外の7位へと後退することになった。残り10試合。どこまで挽回できるか。三笘のウイングプレーが冴えるか冴えないか。浮沈のカギはそこにある。

プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る