三笘薫、ゴール取り消しでCL圏争いから後退 そのウイングプレーが冴えるか冴えないかがブライトンの浮沈を握る (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Colorsport/AFLO

【1対1のシーンを演出できず】

 1-1。CL出場枠をかけたプレミアリーグ上位同士の対戦は俄然、白熱の度を深めた。しかし、ブライトンの勢いはこのあたりをピークに失われていく。三笘が見せ場を作るシーンもなくなった。

 結局、三笘が対峙するマーカーを鮮やかに抜き去り、折り返しを決めるという、その本領を発揮するシーンはこの試合を通じてゼロに終わった。チームとして、あるいは個人として1対1のシーンを演出することができなかった。後半31分、この試合で1度だけ訪れた機会でも、内寄りにポジションを取る味方へのパスを選んでいた。

 攻撃的なブライトンに対しスパーズが守備的であることは布陣を比較すれば一目瞭然だった。4-2-3-1対3-4-2-1。アントニオ・コンテからクリスティアン・ステッリーニに監督が変わったばかりのスパーズだが、布陣は5バックになりやすい守備的な3バックに変化はなく、うしろを固めてカウンターを仕掛けるいつもどおりのサッカーでブライトンに向かってきた。

 両サイドの数的な関係では、2(SBとウイング)対1(ウイングバック)でブライトンが構造的に勝る。引いた相手を崩すにはサイドから、との鉄則に照らせば、三笘はキープレーヤーにならなければならない存在だった。

 三笘が構える左サイドもブライトンは確実に1人分、数的優位な状況にあった。しかし、余るのは左SBのペルビス・エストゥピニャンばかりで、三笘は内寄りに構えることになった。エストゥピニャンもドリブル&折り返しに長けたサイドアタッカーだが、切れ味という点では三笘に劣る。

 三笘は結果的に、3人いるスパーズCBの右側、アルゼンチン代表、クリスティアン・ロメロのマークを受けやすい位置で構えることになった。三笘が1対1で見せ場を作れなかった理由であり、ブライトンが攻めあぐんだ理由だ。

 安定感では三笘以上の右ウイング、マーチと右SBジョエル・フェルトマンで構成する右サイドも、似たような症状に陥った。

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