三笘薫、ゴール取り消しでCL圏争いから後退 そのウイングプレーが冴えるか冴えないかがブライトンの浮沈を握る

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Colorsport/AFLO

トッテナム・ホットスパー戦にフル出場した三笘薫(ブライトン)トッテナム・ホットスパー戦にフル出場した三笘薫(ブライトン)この記事に関連する写真を見る プレミアリーグ5位対6位、トッテナム・ホットスパー対ブライトンは、勝ち点で比べると50対46の関係にあった。チャンピオンズリーグ(CL)出場圏内である4位マンチェスター・ユナイテッドの勝ち点は53。お互いにとって絶対に負けられない、まさに"のるか反るか"の大一番であった。

 開始10分だった。大外を行くクロアチア代表の左ウイングバック、イバン・ペリシッチから、その内側でボールを受けたソン・フンミンにビューティフルゴールが生まれたのは。その左45度の位置からシュートを枠内に蹴り込むことは不可能に見えた。

 かのアレッサンドロ・デル・ピエロでも難しそうなコースから、韓国代表のエースは右足インフロントを振り抜いた。案の定、ボールは最初、枠の右外方向に飛び出していった。観衆の多くが外れるものとボールを見送ったその瞬間、突如、強烈なフックが掛かり、ネットが揺れた。スパーズはソン・フンミンの魔術的なスーパーゴールで先制した。

 対するブライトンがスパーズゴールを揺るがしたのはその7分後だった。アレクシス・マクアリスターが浮き球を送った先に現れたのは三笘薫で、胸トラップを決めると、そのまま右足のボレーシュートを舞うような華麗なアクションで蹴り込んだ。

 同点ゴールが決まった瞬間かに見えたが、VARが介入。その結果、ノーゴールの判定が下された。三笘がトラップした場所は胸ではなく腕。ハンドだとされた。実際のところはどうだったか定かではないが、三笘とブライトンには運が欠けていた。日本のエースが韓国のエースに続くことはできなかった。

 試合はそこからしばらく、1点リードのスパーズをブライトンが追いかける展開が続いた。前半26分にはマクアリスターの枠内シュートがセーブされ、その数十秒後にはモイセス・カイセドのシュートがポストを直撃した。前半34分、右ウイング、ソリー・マーチのCKをセンターバック(CB)ルイス・ダンクが高い打点のヘディング弾を突き刺したのは自然の流れだった。

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プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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