三笘薫のライバルは10人 エムバペ、ヴィニシウス、マネ...当代最高の左ウイングは誰だ? (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by ZUMA Press/AFLO

【ウイングのスペシャリストの魅力】

 だが、そこには一長一短もある。得点力が高まればスペシャリストとしての魅力、希少さは失われる。本格派ストライカーとしての色が増せば、見た目の楽しさ、面白さ、アイドル性は失われる。

 先日のFAカップ5回戦、対ストーク戦で三笘は決勝ゴールにアシスト役として絡んでいる。自らシュートを放っても仲間から文句を言われそうもない状況だった。ラストパスの難易度のほうが高そうに見えるほどだったが、ウイングならではの鮮やかな身のこなしでアシストを鮮やかに決めた。職人芸と言いたくなる、捨てがたい魅力を見せつけた。

 三笘的な左ウイングのスペシャリストで、まず目に飛び込むのはラファエル・レオン(ミラン)だ。ポルトガル代表として臨んだ先のカタールW杯では、交代出場に限られながら2ゴールを挙げ、存在感をアピール。所属のミランでも大黒柱になりつつある。ゴールから離れた「大外」に基本ポジションを構えているにもかかわらず、得点が期待できるスケールの大きさが特徴で、実際、188センチと身体もデカい。それでいて足先は器用である。新しいタイプのウインガーだ。

 カタールW杯ではブラジル代表でヴィニシウスのサブに回ったガブリエウ・マルティネッリ(アーセナル)も面白い。三笘がそうであるように、右利きの左ウイングは基本的に右足でボールを運ぶが、この選手は両足を使う。しかも小刻みに、だ。どっちが利き足かわからない繊細なアクションで、進行方向をワンタッチ毎にずらしていく奥深い芸の持ち主だ。

 アメリカ代表のクリスチャン・プリシッチ(チェルシー)もカタールW杯で活躍した左ウイングだ。どの試合でもコンスタントに好選手ぶりを発揮し、チームを牽引した。クロアチア人の祖父を持つアメリカ人。クロアチアで想起するのは代表の左ウイング、イバン・ペリシッチ(スパーズ)だ。この2人、名前も似ているが、プレーも似ている。それぞれの所属チームも同じロンドンだ。

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