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三笘薫が今季8得点目ゴール後に見せた最高級のプレー その姿に若かりしカズを想起した

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

 今季33試合目となるウエストハム戦に4-0で大勝したブライトン。3月4日時点でリーグ戦の順位は8位と変わらずながら、勝ち点を38まで伸ばしたため、ヨーロッパリーグ(EL)、ヨーロッパカンファレンスリーグ(ECL)出場圏内である6位リバプール(勝ち点39・消化試合がブライトンのほうが1試合少ない)まで1差に接近。チャンピオンズリーグ(CL)出場圏内である4位、トッテナム・ホットスパー(同45・消化試合がブライトンのほうが3試合少ない)の背中も見えてきた。

 ブライトンがCL本大会に出場すれば、ベスト8は厳しくてもベスト16を狙う力は十分ある。好チームぶりを発揮することができるとは、筆者の見立てだ。三笘薫には来季、ブライトンよりワンランク上のクラブから誘いの手が伸びることが予想されるが、ブライトンとともに欧州のステージを駆け上がっていく姿を見たい――と言いたくなるほど、ロベルト・デ・ツェルビ監督率いるブライトンは良質なサッカーを展開している。

 チームも三笘もよく見えるのだ。お互いの相性は抜群にいい。以前にも述べたが、三笘はいいチームに入ったとつくづく思う。欧州でプレーする日本人選手は60人以上を数えるとされるが、三笘はそのなかで最も幸せな選手のひとりだと言えるだろう。

ウエストハム戦でゴールを決めるなど勝利に貢献した三笘薫(ブライトン)ウエストハム戦でゴールを決めるなど勝利に貢献した三笘薫(ブライトン)この記事に関連する写真を見る 3-0で迎えた後半37分。三笘は左のタッチライン際を数十メートル、ドリブルで突破。最深部からマイナスの折り返しを決めている。ゴールこそならなかったが、左ウイングとして最高級のプレーを見せた。その直後、お役御免とばかりピッチを去っているが、息を弾ませている様子はなかった。終盤に入っても三笘の脚いろは鋭く、ドリブル、プレスに入る動きともに軽快そのものだった。感情を表に出さず飄々とプレーするタイプとはいえ、ここまで余力がありそうに見える選手も珍しい。

 前戦のFAカップ5回戦ストーク戦でも、後半31分にピッチをあとにした三笘だが、それまでは6試合連続フルタイム出場を果たしていた。交代枠5人制に変わり、アタッカーは途中交代が当たり前となるなか、この出場時間は異常だ。

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著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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