三笘薫が今季8得点目ゴール後に見せた最高級のプレー その姿に若かりしカズを想起した (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

【スペイン戦決勝点を思わせた得点シーン】

 監督からの高い信頼のほどを窺わせるが、一方で単純に疲れていないことも原因だろう。プレーに余裕がある。いっぱいいっぱいの状態でプレーしていない証拠だ。三笘がもっと上のレベルで戦える選手であることが、なによりこのウエストハム戦の後半37分のドリブルと、ゴールライン際から折り返すプレーに現れていた。

 このウエストハム戦で、三笘は2ゴールに関係した。1点目は前半17分。右サイドを駆け上がったソリー・マーチが左足でクロスボールを蹴ったその直後だった。対角線を描くように向かったパスは、三笘が構える逆サイドの、ペナルティエリアの左角に向かった。その前に立ちはだかったのは、三笘のマーカーであるウエストハムの右SB、ベン・ジョンソンで、ヘディングでクリアしようとしたものの目測を誤り、被ってしまった。

 三笘は、ジョンソンが体勢を立て直そうとするその動きの逆を突き、ペナルティエリア内へドリブルを開始すれば、その状況に慌てたのか、カバーに入った相手の右ウイング、ジャロッド・ボーウェンは、たまらず三笘を押し倒してしまう。このPKを10番のアレクシス・マクアリスターが決め、ブライトンは先制弾とした。

 もうひとつは3点目。後半24分、パスカル・グロスのシュート気味の折り返しに鋭く反応。ファーポスト付近に走り込み、スライディングシュートを決めた。ストーク戦の決勝アシストを彷彿とさせる神出鬼没の、猫っぽい動きだった。2022年カタールW杯スペイン戦で、田中碧が決めた決勝点をアシストしたゴールライン際からの折り返しを想起した人も少なくないはずだ。

 カタールW杯。三笘はすべて試合の途中から、ウイングバックという5バックの一角として出場した。アタッカーというよりディフェンダーだった。大外で構えながら中盤の構成にも影響力を与えるブライトンでのプレーとは大きく違っていた。どちらのスタイルが三笘の特性に適しているか。日本代表に好影響を与えるか、極めてわかりやすい。

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