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久保建英の「猛々しさ」にスペイン人も驚き。3戦連続MVPでバルサ、レアルの取り合いになるか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 久保建英(21歳)の進撃が止まらない。

 2月18日、レアル・ソシエダ(以下ラ・レアル)の久保はセルタ戦に4-3-3の右サイドアタッカーとして先発。今やシステムやポジションなど関係なく力を発揮している。前半4分、いきなりミケル・オヤルサバルの先制点をアシストした。

 自陣で味方のブライス・メンデスが突き出したボールを受け、カウンターに入る。すぐに立ちはだかってきた相手の逆を取ったが、地面に転がすほどの方向転換だった。力強く前へボールを運ぶと、左を駆け上がったオヤルサバルに絶好のタイミングと軌道のスルーパス。オヤルサバルの左足スライディングシュートがニアに突き刺さった。

セルタ戦で先制ゴールをアシストした久保建英(レアル・ソシエダ)セルタ戦で先制ゴールをアシストした久保建英(レアル・ソシエダ)この記事に関連する写真を見る 久保と各選手との信頼関係はシーズンを追うごとに深まっている。開幕当初は「ダビド・シルバに生かされている」という印象があったが、チームプレーを重ねるなかで、むしろ久保が周りを生かすようになりつつある。それによって、久保に自然とボールが集まるし、彼がボールを持つと、周りは信じて走るようになった。

 これ以上ない好循環だ。

 69分、久保がマルティン・スビメンディと相手選手を挟んでボールを奪ってのショートカウンターの連係も秀逸だった。持ち上がってB・メンデスに当てると、ミケル・メリーノ、オヤルサバルと渡ったボールを、久保は再び受け、左足でダイレクトシュート。ネットは揺らせなかったが、相手を圧倒していた。

 この試合、ラ・レアルは後半アディショナルタイムに失点し、結局1-1で引き分けたが、ゲームMVPに選ばれたのは久保だった。これで3試合連続受賞。日本人アタッカーは注目の的だ。

 その波は、今やスペイン中に広がりつつある。

「シャビ(・エルナンデス)監督は久保に"恋する"。(ジョアン・)ラポルタ会長に獲得を懇願!」

 スペイン紙『デスマルケ』が報じたように、古巣FCバルセロナが興味を持っているのは事実だろう。一方で、レアル・マドリードが「買い戻すのではないか」という報道もある。

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著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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