久保建英の「猛々しさ」にスペイン人も驚き。3戦連続MVPでバルサ、レアルの取り合いになるか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

【現地紙もその好調ぶりを特集】

 バルサ、レアル・マドリードの関係者は「逃がした魚は大きい」と地団駄を踏んでいるだろう。当時の関係者は、批判の的にすらなっている。久保を今も手中に収めている可能性はどちらもあったからだ。バルサはたった1億円をケチったことで、FC東京から移籍する際にレアル・マドリードに奪われた。レアル・マドリードも今シーズン開幕前にわずか650万ユーロ(約9億円)の移籍金で手放してしまった。

 今の久保は2027年6月末までの契約で、移籍違約金は6000万ユーロ(約84億円)。市場価値もそれに近づいている。

「たら・れば」ではあるが、シャビ・バルサだったら久保はすぐ戦術的に適応できただろう。世界的な選手になるためには、その移籍が仕上げになるかもしれない。しかし、レアル・マドリードは買い戻しの優先権を持っているだけに、ふたつのクラブのライバル関係を考えれば、「6000万ユーロを払ってでも」となる可能性も......。

 ひとつ言えるのは、久保がふたつのビッグクラブの取り合いになるほどの存在になったということだ。

「スペインに来て以来、最高の久保」

 スペイン大手スポーツ紙『アス』は、その見出しで久保の特集を組んでいる。久保本人やイマノル・アルグアシル監督の証言をまじえ、好調ぶりに迫った。

「高い水準の選手で、チーム貢献度も高い。もっとも、それは入団した時から彼が持っていた力で、今さら発見したものではない。すばらしい選手たちに囲まれる中でプレーしているのは事実だけどね」(アルグアシル監督)

 久保にとっても、ラ・レアルにとっても、またとない出会いだった。久保はラ・レアルのようにボールプレーの質が高く、コンビネーションで崩せるチームでのプレーを望んでいたし、ラ・レアルは久保のように技術が高く、献身性が高く、シンクロできる選手を求めていた。相思相愛がリーガ・エスパニョーラ3位という好成績につながっているのだ。

『アス』の特集のなかで目立つのは、久保の闘争心、競争心、向上心の"猛々しさ"に対する記述だろう。たとえばエスパニョール戦、自身のシュート性のクロスが相手選手のクリアミスでオウンゴールになったシーンで、久保自らが主審に「自分のゴールではないのか?」と迫った逸話を取り上げている。

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