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久保建英が「ティキ・タケ」と称賛される理由。2戦連続MOM、レアル・ソシエダのサッカーを象徴する存在になった (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

【周囲との厚い信頼関係】

 まさに、久保がティキ・タカのリズムを指揮していた。

 なぜ、久保はパスの渦の中心となって、ゴールにも迫れるのか。

 前半、オヤルサバルが自陣からややアバウトなロングパスを左サイドに蹴り込んだシーンがあった。久保がこれを追いかけたが、一度は相手に回収されている。しかし久保は鋭くボールホルダーに詰め寄り、出口を塞ぐ。そうしてボールを奪い返すと、素早くカウンターに入って、走り込んだセルロートに決定的なパスを送っている。

<タケならどうにかしてくれる>

 その信頼関係の積み重ねが感じられるプレーだった。次も、オヤルサバルは久保を信じてパスをするし、セルロートも久保を信じて走るのだろう。優雅にボールを弾くだけでは、渦の中心にはなれないのだ。

 エスパニョール戦も、久保はゴールに対するインテンシティの高さを終始、見せている。62分、右サイドで相手に立ちふさがれたが、カットインしてあっさりコースを見つけ、セルロートにクロスを供給。前に入った相手ディフェンスにヘディングでクリアされたように見えたが、ゴール方向に飛び、オウンゴールとなっている。相手のミスだが、ゴールへの仕掛けが決勝点となったのだ。

 試合後、スポーツ紙各紙が両チームで久保に最高点をつけたのも当然だろう。

 もっとも、久保自身は"エース"として勝ち方には満足していないはずだ。

「あのようにゴールを相手にプレゼントするなど、あってはならないこと。二度と起こらないようにしないといけないだろう。勝った試合で一番、怒っている」

 ラ・レアルのイマノル・アルグアシル監督が憮然として語ったように、試合展開には反省すべき部分があった。73分、FKからの失点は弁解の余地があるとしても、86分に奪われた2点目への流れは非常に悪く、安易に敵を生き返らせていた。スペインでは、「勝利のなかに次の敗因はあり、敗北のなかに次の勝因がある」と言われており、勝って兜の緒を締めた形だ。

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