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三笘薫をフル出場させることを優先。連続決勝弾を呼び込んだ監督采配とブライトンの戦い方 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

【前半と後半で違ったブライトンの戦い方】

 エクアドル代表の左SBはふだんより低い位置で構えた。右SBタリク・ランプティと比較すると、それは一目瞭然だった。イングランド人の右ウイング(4-2-3-1の3の右)、ソリー・マーチとコンビを組むガーナ代表右SBが高い位置をキープしたのに対し、三笘とエストゥピニャンの左サイドは、低い位置で構えた。ブライトンは自発的に3バックに近い変則の4-2-3-1を取った。おそらく三笘がハイペースにならないように。可能な限りピッチに立たせておくために。

 ブライトンは、三笘とエストゥピニャン同様、マーチとランプティの右もいい関係にある。両ウイングと両SBが4角を占めるフレーミングに安定性があるところがブライトンの魅力と言えるが、ボーンマス戦の前半は右サイドをフィーチャーしながら試合を進めた。

 ところが、後半に入ると傾向は一転する。時間とともにエストゥピニャンの位置が高くなり、その結果、三笘のポジションも、まさに真打ち登場という感じで、せり上がるように高くなった。後半42分の決勝ゴールはその産物だった。一般的なチームならベンチに下がっていたはずの三笘がその時、なおピッチに立ち続けていたこと。これがブライトンの勝因となる。

 そのワンプレー前にも三笘はチャンスを掴んでいた。自ら放ったシュートをGKがセーブ。ブライトンは左CKのチャンスを得た。三笘の決勝弾はそれらの流れで生まれた。

 得点はヘディングだった。しかし中央で最初から構えていたわけではない。エストゥピニャン、三笘、ドイツ人MFパスカル・グロス、エクアドル代表の20歳、ジェレミー・サルミエントの4人で左サイドを支配した結果だった。

なかでも三笘が、対峙するイングランド人右SB、アダム・スミスを十分威嚇しておいたことが大きかった。豪快な出会い頭のヘディング弾というより、技巧的なアクションとパスワークから生まれた計算されたゴールだった。

 カタールW杯において、5バックのウイングバックという低い位置で、1試合平均約40分しかプレーさせなかった森保采配と、4-2-3-1の左ウイングで、直近の4試合でフル出場させているデツェルビ采配と。三笘をいかに有効活用するかという視点で見た時、どちらが最適解であるかはわかりやすい。

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