久保建英、レアル戦で「真のチャンスメーカー」として高評価。エース不在でも戦えるチームに革新させている (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 久保にとって、イマノル・アルグアシル監督が率いるレアル・ソシエダが最高の居場所だったことは間違いない。「ボールありき」でコンビネーションプレーを重んじるチームだからこそ、十全に力を発揮できている。試合を重ねるたび、彼自身もチームを革新させつつある。布陣、配置された選手にかかわらず、プレーに適応している点は瞠目に値する。重鎮ダビド・シルバが不在でも、レアル・マドリード相手に互角に戦えることを証明した。

「何も失うものがないっていうのはありますけど、いいトレーニングをして、いいゲームができて、そのいい雰囲気に後押しされているのはありますね」
 
 試合後、久保はリーガ3位のチームと自身の好調を重ね合わせるように語った。好循環に支えられているのだろう。開幕前から考えたら、劇的に評価を変えた。この先にまだ物語はありそうだ。

【著者プロフィール】小宮良之(こみや・よしゆき) スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。

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