堂安律は市場価値が爆上がり、鎌田大地は残留か否か。カタールW杯で活躍した日本代表ブンデス戦士8人、後半戦のポイントは? (4ページ目)

  • 鈴木智貴●取材・文 text by Suzuki Toshiki
  • photo by AFLO

【田中はクラブ史上15人目】

 しかし、合宿中に行なわれたFCシオンとのテストマッチでは、ダン=アクセル・ザガドゥとコンスタンティノス・マヴロパノスを負傷で欠いたため、伊藤はヴァルデマール・アントンとともにCBを務めた。指揮官も「ヒロキはいろんなポジションでプレーできる。選手層が薄い我々にとって非常に重要なことだ。いい守備を見せてくれたし、いいパスを中盤に供給していた」と満足げ。CBと左SBができるポリバレントな選手として、新政権でも伊藤は重宝されるはずだ。

 ボーフムのトーマス・レッチュ監督が「彼はゴールへの意欲と鋭いスピードを持っている。間違いなく我々にとっていいプレーヤーだ」と評する浅野拓磨は、今シーズンまだ無得点。しかし、ワールドカップ初戦のドイツ戦で逆転弾を決めて、その名が今まで以上にドイツ国内に広まったことは想像に難くない。

 この冬は、ドイツ代表DFニコ・シュロッターベックの実兄DFケベン・シュロッターベックと、カメルーン代表MFピエール・クンデ・マロングがボーフムに加わった。特に後者はボール奪取に優れた中盤の選手で、以前マインツ所属だったこともありブンデスリーガの水にも慣れ親しんでいる。ふたりが加入したことで最重要課題だった守備力の向上が期待でき、前線の浅野にとっては攻撃に意識を向けられる時間が増加するかもしれない。

 昨春、川崎フロンターレからデュッセルドルフへの完全移籍が決定した田中碧は、低調なパフォーマンスが時折見受けられた昨シーズンに比べ、今季は中盤の中心人物としてすでに公式戦15試合に出場。125年以上の歴史を誇るデュッセルドルフにおいて、ワールドカップ参加者は田中がクラブ史上15人目、さらに同大会での得点(スペイン戦)は史上3人目という快挙だった。

 合宿地マルベーリャでドルトムントとのテストマッチに出場し、60分間にわたってプレーした田中は「ワールドカップ後では初の試合。ドルトムントと対戦できたことは、僕にとってもいい気分だった。ここデュッセルドルフでシーズン後半戦もいいプレーをして、成功を手にしたい。1部昇格だけが目標」と話したという。ワールドカップで手にした自信と教訓を胸に、歩みを進めたい。

【筆者プロフィール】鈴木智貴(すずき・としき)
1981年生まれ、静岡県出身。2010年からドイツ在住。DFB公認B級(UEFA−Bレベル)指導者ライセンス保有。これまでに左右アキレス腱断裂と左膝半月板損傷を経験しており、手術歴“だけ”はプロ選手並み。

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