震源地はチェルシー、さらなる日本人選手の名前も。今冬の欧州移籍市場が活発な理由
「冬の移籍は慎重になるべき」
それが昨今の欧州サッカーリーグの定石である。
シーズン途中の移籍は、いびつにならざるを得ない。不振のチームが巻き返すために補強するというパターンが多いが、市場に出回るのは、チームのなかで浮いた状態の選手や契約満了間際の選手で、「わけアリ商品」が多く、"安物買いの銭失い"になることもしばしば。選手のほうにとっても状態の悪いチームに新天地を求めることになり、一か八かの勝負は得策ではないだろう。
たとえば欧州王者レアル・マドリードは、現在では冬の獲得に慎重で、ほとんど手を出さない。かつては話題作りのように冬の移籍に乗り出して失敗していた。2015年1月にはブラジルのクルゼイロからMFルーカス・シルバを1300万ユーロ(約17億円)で獲得したが、大外れだった。「つかまされた」感は強く、数試合、出場の機会を与えた後、半年でお払い箱にした。"同じ轍を踏まない"姿勢だろう。
ところが、2022-23シーズンの冬の欧州移籍マーケットは例年より活発である。
横浜F・マリノスからセルティックに移籍し、ファンに挨拶をする岩田智輝この記事に関連する写真を見る 理由のひとつには、プレミアリーグのチェルシーの存在が大きいだろう。
チェルシーは今シーズン開幕後、トーマス・トゥヘル監督を更迭し、ブライトンからグレアム・ポッター監督を招聘。これが大きな変化の前兆だった。チームが中位に低迷するなか、この冬、改革のために大幅な補強策を敢行した。
ポルトガル代表FWジョアン・フェリックス(アトレティコ・マドリード)を半年間のレンタル料1000万ポンド(約16億円)で手に入れると、コートジボワール代表FWダトロ・フォファナ(モルデ/ノルウェー)を約17億円、ブラジル人MFアンドレイ・サントス(バスコ・ダ・ガマ)を約28億円、フランス代表CBブノワ・バディアシル(モナコ)を約54億円、ウクライナ代表で今シーズンのチャンピオンズリーグでブレイクしたアタッカー、ミハイロ・ムドリク(シャフタール・ドネツク)を約155億円で、次々に獲得を決めている。また、エクアドル代表MFモイセス・カイセド(ブライトン)にも100億円以上の移籍金を用意していると言われる。
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