福田正博が振り返るカタールW杯。アルゼンチン優勝で感じた「サッカーの固定観念を覆す2つの出来事」
■名勝負、好試合が続き、大きな盛り上がりで終わった昨年のカタールW杯を、福田正博氏が振り返る。アルゼンチンの優勝で、サッカーの固定観念を覆す2つの事象があったという。
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【サッカーの魅力や面白さが凝縮された大会】
リオネル・メッシとキリアン・エムバペという、新旧の時代を象徴するスーパースターが、ファイナルで激突する。しかも、両チームの背番号10のエースは、W杯得点王争いをしている。そうした構図で決勝戦を迎えたワールドカップは、もう何大会もなかったことだった。
試合展開でも、サッカーの魅力や面白さが凝縮されていた。ジャイアントキリングが連発し、国境にかかわらず、サッカーへの興味の深度を問わず、誰もが楽しめたカタールW杯のフィナーレに相応しい一戦だった。
そのなかで、世界中で多くの人がメッシにワールドカップを掲げてほしいと願い、二転三転するドラマティックな展開の末にメッシが優勝を手にした。ディエゴ・マラドーナの活躍でアルゼンチンが優勝した1986年メキシコW杯と同じように、未来まで長く語られていく大会になったのではないかと思う。
マラドーナで言えば、メッシとマラドーナを比べること自体がナンセンスだと思っている。もし獲得したタイトルだけにフォーカスするのならば、南米におけるコパ・アメリカのタイトルも加味すべきだろう。マラドーナの現役時代にアルゼンチンは2度優勝しているが、いずれもマラドーナは不参加。メッシは2021年にブラジルを破って11大会ぶりの優勝を手にしている。
ただし、マラドーナの時代は、開催が4年に1度だったが、メッシは開催間隔が変動するなかでの優勝という点も考慮すべきだろう。そう考えれば、そもそも比較することが無理で、「ふたりとも偉大な選手」でいいのではと思っている。
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