カタールW杯でV候補のイングランドは課題が露わ。監督「成功するチームになるため多くの顔を見せないといけない」 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by JMPA

 ワールドカップが開幕する1週間前まで、所属するクラブでリーグ戦とUEFAチャンピオンズリーグ(あるいは、ヨーロッパリーグ)の連戦を毎週のようにこなし、心身両面で切り替えがままならぬうちに、代表チームでビッグイベントに臨む。

 大会開催の条件はどのチームにも同じだとはいえ、特に強豪国と言われるチームにケガによる離脱選手が増えているのは、当然の成り行きだろう。イングランド代表にしても、主力だったDFリース・ジェームズなどが、登録メンバーから外れる事態に陥っている。

 大会前にコンディションを整え、戦術的な確認をし、いよいよ開幕を迎えるというより、「大会をこなすなかで進歩していかなければいけない」(サウスゲート監督)というのが実状である。

 だからこそ、優勝候補を率いるという困難な役割を託されたサウスゲート監督は、ふたりのセンターバック(DFジョン・ストーンズ、DFハリー・マグワイア)を称えたうえで、こう続ける。

「今日の試合では(守備に回って)ボールを持っていない時に、(売りである攻撃とは)別の面を見せなければいけなかった。成功するチームになるためには、"多くの顔"を見せなければならない」

 イングランドはこの2試合、決して盤石の戦いを見せているわけではない。だが、裏を返せば、どんな試合展開でも大崩れすることなく、柔軟に対応できることを示したとも言える。

 ドイツが日本に敗れたのをはじめ、番狂わせが少なくない今大会において、イングランドは相手に金星を献上することなく、2試合で確実に勝ち点4を手にした。

 目指す頂に向け、徐々に調子を上げていくには悪くないスタートである。

【著者プロフィール】浅田真樹(あさだ・まさき)
フリーライター。1967生まれ、新潟県出身。サッカーのW杯取材は1994年アメリカ大会以来、2022年カタール大会で8回目。夏季五輪取材は1996年アトランタ大会以来、2020年東京大会で7回目。その他、育成年代の大会でも、U-20W杯は9大会、U-17W杯は8大会を取材している。現在、webスポルティーバをはじめとするウェブサイトの他、スポーツ総合誌、サッカー専門誌などに寄稿している。

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